何も変わらないもの 【完結】

□何も変わらないもの 5
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何も変わらないもの 5


今日は、幸村くんと会って、自分の中にあった大切な気持ちに気付くことができた。

『…ありがとう。』

私を、『正直だ』って褒めてくれて。
私に、大切な気持ちを思い出させてくれて。
私を、許してくれて。

「ありがとう。」

1人、自分の部屋の中で呟く。
こんなに人に感謝をしたのは久しぶり。
いつも1人だったから。

ふう、とため息をつく。
信じられない。
1日で価値観、というか考え方が変わるなんて。

そうだ、ブラックリストの人たちをもとに戻そう。
…謝ろう。

そう思って携帯を手に取って着信拒否解除する。
するとランプが光り、携帯が鳴り出した。

突然のことに驚き、心臓がばくばくしつつ、着信を見ると、そこには仁王くんの番号があった。

「も、もしもし。」

仁王「おー。やっと繋がったぜよー。」

彼の言い方は、とてもめんどくさそうな言い方。
なら電話してこなきゃいいのに。
いやいや、だめだ、謝る身なのに。

「…あの、」

丸井「あー!!赤也!!!俺のお菓子に手出すんじゃねぇぇえええ!!!」

ん?
複数様いらっしゃる…。

柳生「丸井君、切原君、静かにしたまえ。仁王君が電話中ですよ?」

切原「わああ!すみませんて!丸井先輩!!」

丸井「次やったらぶっ殺すからな!!」

切原「はいっス!!絶対やんないっス。」

…小学生か!!
と突っ込みたいけど、謝らなくては…。
どうしたらいいのだろうか。

仁王「騒がしくてすまんのぅ。」

「あ、ううん。あのさ…。」

切原「仁王先輩、さっきから誰と電話してんスか?」

おい。まじ、いつになったら謝れるのこれ…。

『謝る身だから』と抑えてた怒りが込み上げてくる。
電話の向こうでがやがやわちゃわちゃと…。
こっちは謝ろうとしてるのに…!!

私は、怒鳴り散らそうとする一歩手前のところで、はっと我に返った。

こんなことで怒ってられない。
最近、短気になりすぎてる。

危ない危ない。

「あの、ちょっと聞いてもらえる?え…っと、仁王くんと、柳生くんと、丸井くんと、ジャッカル?くん。」

名前が合ってるか分からないけど、なんとか記憶を辿った結果。
合ってないなら合ってないで、教えてくれるでしょ。

丸井「なんだよぃ?てかお前誰?」

え…。
ん?
まぁ、普通はそんなもんなのか。
ただ仁王くんがおかしいだけか。

「この間、ジャッカルくんを支えてしまって、逃げた者です。」

ジャッカル「あ、あの時の。あの時は悪かったな!」

お。常識人だ。めずらしい。

柳生くんも常識人だと言われてるらしいけど、前のこともあったし、柳生くんは絶対違うと確信してる。

「あの、今まですみませんでした。何も知らないのにみんなを避けてしまって…。」

全部言うのはとてもめんどくさかったけど、今は私の気持ちなんてどうでもいい。

とにかく謝る。

仁王「…嫌じゃ。」
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