何も変わらないもの 【完結】
□何も変わらないもの 4
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何も変わらないもの 4
反射的に怒鳴ってしまった。
やっちゃった…。本当に、最悪。
一気に血の気が引いた。
掴まれていた腕は解放されたのに足が動かない。
幸村くんが何か言った。
なんて言ったの?
声が小さくて聞こえな…!!
幸村くんの声が小さいんじゃない…!!
音が、聴こえない…?
「どゆこ…!」
今度は視界が、どんどん狭く…!!
「た、すけて!!」
歩いているのか止まっているのかも分からない。
立っているのか倒れているのかすら分からない。
さっき、頭とか打ったのかな…。
怒鳴った衝撃で、どっかおかしくなったの…?
――――
幸村said
やっちゃった…。
でも、君も悪いんだよ?
完全拒否するから。
ん?そういえば、彼女の声、昨日の…。
そういうことか。
彼女は田中さんだったんだ。
今すぐ治してもいいけど、うーん、そうだな。
保健室に運ぼう。
田中さんは、少しの間うろうろした後、そのまま倒れた。
かなりパニックになっていたなぁ。
まぁ、それはそうだろうけど。
彼女がテニス部を嫌う理由は、『ファンクラブ』 だろう。
だから俺は、誰も通らないような抜け道を使って彼女を保健室まで運んだ。
彼女が目を覚ましたら、なんて説明しよう?
――――
田中said
「ん…?夢…?」
気が付くと私はベッドにいて、目も見えるし、ベッドが軋む音も聞こえる。
夢…?
でも、だとしたらなんで私は保健室に?
幸村「…やぁ、目、覚めたんだね。」
「幸村くん…?」
夢じゃない…。
てことは、やっぱり、倒れたのか。
「ごめん。私、倒れちゃったみたいで…。」
幸村「…。」