何も変わらないもの 【完結】

□何も変わらないもの 3
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何も変わらないもの 3


幸村said

朝、ブン太が『変な奴がいるぜぃ?』って言ってた。

逃げただけで『変な奴』って…。

俺はそう思って特に気にしてはいなかった。
しかし、仁王から、『面白そうな奴がいるぜ?』って言われた時は驚いた。
仁王は人を見極めるのが得意らしい。
だから彼が面白いって言う人は面白いんだろう。

聞けば『テニス部と関わると良いことがない。』
って言っていたらしい。
それからファンクラブに入っているか聞いた時に
『入ってるわけない。』と言ったらしい。
それから『人間関係がめんどくさいから』部活には入ってないらしい。
それにジャッカルはともかく、ブン太のことまでも『誰それ?』と言っていたらしい。

うん、確かに面白そうな子だ。

仁王は、彼女の携帯の番号を密かに手に入れたと言っていた。
もう電話を掛けたのだろうか?

お、噂をすれば、仁王から電話だ。

仁王「幸村、聞いてくれ。さっき田中に電話したんじゃが、『誰か分かりません。』って言われて切られたぜよ。」

本当は分かっていたんじゃないかな、と思ったけど、俺はまだ田中さんの事をよく知らないから、黙っていた。

仁王「その後、柳生にも電話を掛けてもらったんじゃが『番号が違います。』って言われて、切られたたらしい。」

幸村「あははっ!!」

俺は我慢できずに吹き出した。
だって面白いじゃないか。
完全に拒否してるってことだよね?

仁王「ゆ、幸村?」

仁王は気付いていないのかな?
そういうところに敏感なはずなのに。

幸村「ごめんごめん、面白くってつい。…俺も電話を掛けてみたいな。番号、教えてくれる?」

仁王「あ、ああ…。」

面白そうだな。
俺が掛けたらどうなるだろう?
彼女は、俺の事知っているかな。

電話を掛けると、少し間が空いたけど繋がった。

「…はい。」

容姿は想像つかないけれど、声は高い。

幸村「初めまして、田中さん。俺は立海テニス部部長の…。」

あれ?切れてる…。
俺との電話を、俺が話してる途中で切るなんて。
ふふ…。いい度胸だね。
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