いつも通り 【完結】
□いつも通り 11
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いつも通り 11
私を含め、屋上にいる全員がその音に一瞬体を跳ねらせ、扉に注目する。
赤い髪の人。
走って来たんだろうと分かるくらい汗をかいている。
でも、あまり息切れしていない。
暑いけど、疲れないんだ。
さすがは運動部。
そんな丸井くんに感心していると、丸井くんはズカズカと集団へと歩き始める。
な、なにをするつもりだろう...?
まさか、今まで私が我慢してきたというのに、問題を起こすつもりなの?
集団は見事に丸井くんを避ける。
それでも丸井くんは気にする様子なく進む。
誰もが何も言えない状況のまま立ち尽くしていると、私の目の前に丸井くんが。
丸井「ばかか!」
木下「え!」
怒られちゃった。
殴ったと思ったのかな?
私には傷はついてないから。
木下「大丈夫だよ、丸井くん。殴ってないし、テニス部のみんなの迷惑になることはしてな...。」
それはすごく突然の出来事。
怒られて、誤解を解こうと思って話していた。
そう、話していただけだったのに...。
どういうわけか、今私は丸井くんの腕の中。
一瞬で頭が真っ白になっていたけど、気が付いてしまってすごく心臓がドキドキしている。
それに顔も熱い。