いつも通り 【完結】
□いつも通り 3
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いつも通り 3
姫「ただいまー。」
私は一軒家に住んでいる。
だから私の声は、誰もいないこの家ではよく響く。
1人は寂しい。だけど1人は平和でいい。
私の両親は共働きで、朝早く出て言っちゃうから、夜しか家にいない。
『そんな夜こそ大事にしなきゃ。』って思ってた時期もあったなぁ。
今はそんなことちょっとも思わない。
でも夜は好き。
涼しいし、星は綺麗だし、静かだし。
そういえば丸井君、ジャッカル君と仲直り出来たかな。
母・父「ただいま。」
姫「お、おかえり!!」
うそ、うそ、なんで?!
いつもよりとても早く帰ってきた両親。
母「今日はたまたま、2人とも早かったのよ。」
やっぱり今日はいつも通りじゃない。
両親の機嫌が異常なほどいいし、理不尽な理由で怒られたりしない・・・!!
すごく居心地がいい。
家ってこんなにいいところだったんだ。
・・・でもきっと明日にはいつも通りに戻ってしまう。
あ。また暗いこと考えた。
頭から離れなくなるから考えちゃだめなのに...
ピーンポーン
いつもなら、こんな玄関のチャイムなんて聞こえない。だって暗いこと考えると周りの声が遠くなるから。
でも、やっぱり今日は、いつも通りじゃない。
母「あら、誰かしら?こんな時間に。悪いけど、姫、出てくれない?」
言い方はいつもよりすごくいいけど、私に頼むところは変わらないか。
姫「あ、うん。分かった。」