野良猫【完結】
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白石「どうや?」
謙也「ええんやない?」
白石「よっしゃ!」
謙也「ただ、最後がちょっと甘すぎやない?」
部活後、帰りに、俺は謙也に初の恋愛小説『野良猫』を読ませた。
謙也は思ったことをそのまま言ってくれるから助かる。
謙也「でもこれ、名前はどうすんねん。」
「このままじゃアカンかな?」
謙也「俺はええけど…フィクションにしては名前具体的すぎてなんか…。」
確かに…。
フィクションの物語で実在する名前を使うと、現実味が増しすぎてよく分からなくなることがある。
白石「せやな…。変えるか。」
謙也「いやしっかしよくこんなリアリティあるやつ書けたな、恋愛経験も恋愛小説経験もないくせに。」
パラパラと原稿を捲りながら心が痛むようなことを軽々言う謙也。
白石「不思議なことに、昨日バッと降ってきたんや。これがこのまんま。」
色々と具体的すぎてよく分からなかったけど、書かないとって思って書き留めた。
俺が書いた、のかもよく分からない。
謙也「まぁでも、明日から東京やから、暫く小説はお預けやな。」
白石「せやな。遅れんやないで?」
謙也「当たり前や。ほんじゃあな。」
謙也と別れ、俺は家に帰った。