私の大好きな幼馴染み 【完結】

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私の大好きな幼馴染み 1


やなぎ「おれ、こまちのこと、ひゃくぱーせんとしあわせにできる。だから、おれのおよめさんになって!」

たなか「うん!ふたりでしあわせになろーね!」



バシッ!

なにかが鈍い音を立てた。それと同時に頭に痛みが走る。

田中「い...ったぁ。」

芦葉「こまちまた寝てるー。ここテスト出るんだからねー?」

芦葉先生はノリがいいから好きだけど、教科書で叩くのは勘弁して欲しい。
まあ、毎度毎度寝てる私も悪いんだけど。

私は急いでノートに写す。

キーンコーンカーンコーン

あぁ...。まただ。結局授業何も聞いてないや。

柳「こまち、また寝ていたようだな。」

授業が終わると蓮二が私の席にやってきた。
これも日課である。

...そういえばさっきの夢、幼稚園の頃の記憶だ。
私は記憶力がないけど、あのやり取りだけは覚えてる。
蓮二はきっと、何も覚えてないんだろうなぁ...。

柳「こまち?どうかしたか?」

田中「...頭が痛いだけー。」

蓮二は少し考え込んでから何かを言おうとした。
けれどその声は教室の入り口から叫ぶような声にかき消された。

切原「柳せんぱーい!お願いがあるんスけど!」

柳「...。」

切原「ちょっ!無視しないで下さいよぉ!!」

またあの子か。よくクラスに来ては蓮二を呼んでいる。

田中「行ってあげないの?」

柳「...仕方が無いな。」

そう言い残して蓮二は去った。
何を言おうとしていたんだろう。

...というかあの子は毎回なんで来るんだろう。

しばらくしてから、蓮二は少し不機嫌な顔をして帰ってきた。
あの子に呼ばれる日はいつもそう。

田中「蓮二ー。毎回あの子に何頼まれてるの?」

柳「補習に付き合ってくれと言ってきた。赤也は理解力がない上に授業中寝ているから教えようがないんだ。」

あー...。なるほどね。

田中「バカな人はどこが分からないのかも分からないもんね!!」

その時だった。蓮二が開眼した!
みんなは蓮二の開眼を怖いっていうけど、私はかっこいいと思ってる。見慣れてるからかも。
いや、そんなことどうだっていいんだ!!うん。
問題は、なんで開眼したのか...。

田中「...どうしたの。」

なかなか目を閉じてくれない。蓮二の開眼は好きだけど、嫌な予感がする...。

柳「こまち、お願いがあるのだが...。」

はぁ、やっぱりね。そんな気がしてた。
蓮二は私に、放課後にあの子の勉強を一緒に見て欲しいと言ってきた。頭が悪いこの私に。...別に部活入ってないし、用事があるわけではない(つまりヒマだ)し、蓮二の頼みは

田中「...バカで良ければご一緒します。」

断れないよね。
そして、良かったと口角を上げる蓮二が好き。





時間が経つのも早いもので(1時間しか経ってないけど)今はもう放課後。

よっし!授業終わったー!!早く帰ろー。

田中「蓮二、部活頑張ってねー。」

柳「こまち、忘れているならば言わせてもらうがこれから1週間、赤也の補習だぞ。」

あの子の勉強を蓮二と見てあげるんだった。
他の人から頼まれるなら断れるのにな。

柳「赤也。」

赤也、か。赤也赤也赤也...うっし!覚えた!!

切原「柳先輩!来てくれるって信じてたっス!」

すごい目を輝かせて蓮二を見た後、隣にいた私を見て頭の上にはてなマークを浮かべた。

田中「あ、私、蓮二に頼まれて一緒に赤也くんの勉強を見ることになった、田中こまちだよ。」

切原「...よろしくっス。」
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