特撮story

□天才物理学者の悩み
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「いてて……」

流石に3日間ろくに寝てなきゃ胃も痛むか……。いや、多分それだけじゃないよなぁ。
この、天っ才物理学者ともあろうこの俺がまさかストーカーの標的になるなんて。
確かに俺はイケメンだし頭もいい。アニメで言うモブのようなあのおっさんに狙われるのも何となく分かるけど、でもそれとこれと話は別。
1週間ほど前からそれがストレスで睡眠不足に陥りその時間に研究をしようとしても集中力が続かない。
睡眠不足+ストレスにより体調もすこぶる悪いので尚更研究なんて続いて30分。
まぁ、敵は殲滅したわけだし?今この世の中は平和なわけだから俺が研究をする必要も無いんだけど、個人的に謎な部分は多い。

まず、何故俺と万丈以外前の世界の記憶を持たないとされていたはずのこの新世界に生きる美空、一海、紗羽さん、玄徳の4人の記憶が戻ったのか。
新世界に俺と万丈が落とされたあの日。
俺達の記憶を一切持っていない4人を見てからというもの、なるべく関わらないように過ごしていたが2週間後、何故か俺達の前に現れて記憶が戻ったと説明した。
戻るも何も、そもそもこの世界の4人はあんな体験はしてないのに何故記憶が4人に入ってしまったのか。4人も戸惑ったそうだが、俺達が仲間であることに変わりはないと言いそばに居ると言い張った。
もちろん、嬉しくないことは無い。だけど、どうしても不思議に思ってしまう。
そして、そもそも俺達ライダーのシステムは結局何のために必要だったのか。
怪物ができない限り、こんなシステムは必要が無い。
だったら、何故こんなシステムを作ろうとしたのか。
もっともっとビルドについて知りたいことは山ほどある。
そのために、nascitaの冷蔵庫から繋がる地下にまた秘密基地を作った。どうやって作ったかなんて、そんなの聞くな。色々やったんだよ。

こんなことで手を止めたくないけど、痛いもんは痛い。今までで1番というレベルで痛い。
鳩尾辺りが締めつけるように痛いのと、中腹部から下腹部にかけて全体的に波を打つようにキリキリズキズキ。
そんなのが1時間も続けば作業なんて簡単に止まる。
痛すぎて左手で胃の辺りを押さえて右手をデスクの上に置いてその上に額を乗せて短く息を吐いた途端、階段を降りる音が聞こえた。
その瞬間、今までにない激痛が走った。




「戦兎〜?いんのか〜?」

3日間、地下から出てこない戦兎を心配した美空に何故か俺が指名されて地下に来た。
いんのか〜?とか言いつつもどうせデスクに向き合ってるんだろうと思って真っ先にそっちを向いたら案の定いたけど、珍しく寝てる?っぽい。

「寝てんのか?」

そう言いながら近づくにつれ、様子がおかしいことに流石の俺でも気づいた。普通じゃない肩の上下の仕方が普通じゃない。
なんだよ、こういう説明しか出来ねぇんだよいいだろ別に!

「戦兎?どうした?大丈夫か?」

近づいて肩に手をかけると少しだけ体が熱い気がする。

戦「っ……ぃ"っ…はァっ…」

「どこか痛いのか?!」

一「おい、龍我。戦兎はどうだった……って何やってんだ」

困ってたらカズミンも降りてきた。

「なんか、戦兎、どっか痛てぇみてぇで!!なんか、苦しそうなんだよ!」

一「あ?……戦兎、戦兎?……龍我、戦兎をベッドに運べるか?」

「おう、任せろ!」

カズミンがそう言うから、コロコロ椅子(名前知らねぇんだよ!!)に座ってた戦兎を抱き上げて奥のベッドに運んだ。
つーか、軽すぎだろこいつ……。

一「サンキュ。……熱あるな。見る感じ、胃が痛てぇみたいだし。……龍我、上行ってみーたんに胃薬とゼリー的な病人でも食えるものと水、あと濡らしたタオルと体温計貰ってこい。」

「わ、分かった!!」

戦兎の額に手を乗せながら言うカズミンの言うことを今だけ素直に聞く。
戦兎のためだからな、仕方ねぇ。
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