特撮story

□繋ぐ命
1ページ/4ページ



ある夏の日ーーー。

大天空寺にはそこに住むタケルと御成とアカリの他にシブヤ、ナリタはもちろんのこと、マコト、アラン、カノンも集まっていた。
外は土砂降りの雨で、結論を言うと彼らは帰れなくなったのだ。
午前中は暑すぎるくらい晴れていたというのに夕方になって一気に雨が降り始め地面を強く叩きつける音が止まず、延々と雷も鳴っている。
まぁ、マコト達3人は帰る先は眼魔界でゲートを使えば帰れるので帰ろうと思えば帰れるのだがカノンが不定期に鳴る雷に怯えきっていてとてもじゃないが動かせる状態ではなく、カノンに甘い2人は無理強い出来ずにそのまま大天空寺に落ち着くまでいることに。

御成「……なかなか今日中には収まりそうにはなさそうですな。」

タケル「うん……皆、もう今晩は泊まっていくといいよ。」

しかしその考え自体も甘かったようで、結局1時間待っても2時間待っても収まらない雨に通り雨ではないと思ったタケルは皆に泊まっていくよう伝える。
幸い、ここはお寺で修行僧などが泊まることもあるので部屋は充分にあるしよくここに彼らが集まって泊まることも少なくないので着替えや食器などの心配もいらない。

マコト「あぁ……この雷じゃカノンも俺とアランの男ばっかりよりもアカリがいてくれた方が安心かもしれない。」

アラン「そうだな。また、世話になる。」

シブヤ「お世話になります!」

ナリタ「なりまーす。」

アカリ「よし、じゃあ順番にお風呂入ろ!カノン、久しぶりに私と入ろっか!」

カノン「うんっ……!」

アカリの言葉に少し元気が出たのか嬉しそうにニコニコしてアカリにくっついて行くカノンの様子を見て男達も安堵する。

御成「では、拙僧は予定よりも増えた夕食の支度をもう始めるとしますかな!」

シブヤ「手伝います!ほら、ナリタもっ!」

ナリタ「えー……」

3人がわちゃわちゃと夕食の支度をするのを居間の椅子に腰掛けテレビを見ながら眺めるのはライダー3人。
生憎、3人とも料理が得意なわけではなくいつも食事の際の手伝いといったら全て終わったあとの皿洗い、食器の片付け、テーブルに料理を持っていくことくらいだ。
だから、邪魔にならないよういつも居間でジッとしてるのが彼らのスタイルなのだ。

タケル「あ〜、お腹空いた〜。
最近ほんと生きてるって感じて凄い楽しいな〜」

伸びをしながら独り言の様にそう言ったタケルを見て、アランとマコトも目を見合わせ微笑む。
ゴーストの時には感じなかった空腹や睡眠欲。
今まで普通にやっていたありとあらゆる生活がいきなりできなくなった……いや、やらなくても支障がなくなったと言った方が正確だろう。
そんな中で生活して、やっと生き返ることができてからもう数ヶ月経つ。
死ぬことで改めて知ることができた命の大切さ、生きてることの素晴らしさを1日1日噛み締めながら精一杯生きてるタケルを見るのはマコト達からしても気持ちがいい。

タケル「不可思議現象研究所もあれから全然不可思議現象なくってさぁ、なんか犬の迷子とか落し物探してくださいとかさぁ、交番とか探偵みたいな使われ方してるんだよ最近。」

マコト「そう言えばアカリもグダグダと言っていたな。」

アラン「ここは相談所ではあるけど迷子を探す場所ではない、って怒ってたな。」

それぞれそういえばとアカリがそう言っていた時のことを思い浮かべてクス、と笑う。
どいつもこいつも、平和ボケしたなと感じるがすぐに自分達も他人事じゃないことに気付きまた笑ってしまう。
これが自分達が戦ってきた理由で、自分達が望んだ世界の姿なのだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ