特撮story
□変わらぬ絆
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獣電戦隊キョウリュウジャー
街の人々に支えられ1年間戦い抜いた彼らは今、それぞれの道を歩んでいた。
ゾーリ魔達が現れていない今、キョウリュウジャーの仕事は無いに等しい。
そんな中、スピリットベースに時々顔を出すのは現在高校3年生になった立風館ソウジと未だになんでも屋を営む有働ノブハルのみ。と、言ってもソウジは受験生、ノブハルは仕事の繁栄による多忙でほとんど顔を出してはいないが。
チームのリーダーである桐生ダイゴは戦いによって壊れた街を直すための度に出て、イアン・ヨークランドはエジプトに旅立ち考古学者としての生活に戻った。アミィ結月は元々1年としていた留学期間を最終決戦から半年後に終え、アメリカに帰国。空蝉丸はなれない現代の生活に少し疲れを感じていたのか、修業と銘打って電気も通っていないような山奥に籠りっきりだ。
こうしてそれぞれの生活を続ける彼らだが、ふとした時に思い出してしまうのがあの日々。
リーダーが集合をかけるとすぐに全員が返事をし、スピリットベースに集まることを約束した。
ソウジ「早く着きすぎたな……。」
約束の日、約束の時間。
最初に約束の場所に姿を出したのは袴姿でスクールバッグと木刀を持ったソウジだった。
学校が終わって、時間は2時間も早いが家に帰るより近いので直接来てしまった。いつも通り座って勉強道具を広げた。
受験生で有名な学校に通っているだけあって成績は優秀な彼の進路はまぁ勿論と言うべきか、大学進学。なかなか高いレベルを勧められ、そこでは剣道も出来るので彼もそこを目指して受験勉強中だ。
イアン「……ボーイ……は寝てるようだ。」
アミィ「あれ、ほんとだ。」
次にスピリットベースに2つの人影が現れたのはソウジが来てから1時間半程経った頃。
マイペースではあるが時間や約束は守る海外コンビは飛行機の時間が早かったこともあり約束の30分前には到着した。2人とも大きな荷物を持って現れたが、机に自分の腕を枕にして寝ている最年少の姿を見て立てていた音を止めた。
アミィ「こんな時も勉強?ほんとにソウジはいい子ね……。」
20歳となってお酒も飲める歳になったアミィは2年前より遥かに大人っぽくなった。しかし、2年前の少し子供っぽいというかお転婆な雰囲気も残しつつ綺麗に成長した。
アミィはソウジの隣に腰かけると少しキリッとはしたのだろうが、寝顔はまだまだ幼さの残る……というか最早彼の顔自体が少し幼く感じるような造りなのだろう。純粋な幼さを感じる顔で眠る2つ下の弟の頭を撫でる。
イアン「ボーイも、こう見るとまだまだ子供だなぁ。」
その様子を2人の表情が見える位置で眺めていたイアン。
するとソウジの瞼が震え、ゆっくり開かれた。
ソウジ「ぁ、……おかえり。」
ソウジの半分寝惚けていたとしてもポロッと出てしまったおかえり≠ニいう言葉。その言葉にアミィもイアンも少し目頭が熱くなった。
どんなに離れていようときっとそれぞれの心はここを中心に繋がっている。皆の帰る場所であり、皆が出会った場所。
イアン「ただいま、ボーイ。」
ソウジ「……結局、ボーイ呼びのままなの。」
イアン「oh,my……案外気に入ってるんだぞ?」
ソウジ「ふーん、あっそ。」
空蝉丸「各々方!もう来られていたのですか!」
ノブハル「久しぶりだなぁ。」
2年前から変わらない2人のやり取りが一通り終わった頃、また2人、その場に姿を現した。
アミィ「久しぶり!ノッさんにウッチー!」
ノブハル「おぉ、アミィ。随分大人になっちゃってまぁ……。イアンも、更に色男になったんじゃないか?」
イアン「oh,my……そんなの知ってるよ。」
ノブハル「ソウジはあんま久しぶり感ないな。最後に会ったのは3ヶ月前くらいか……?」
ソウジ「そうだね。まだ俺がそんなにバタバタしてなかった頃だから。」
空蝉丸「各々方成長されてて……」
感動の涙を流す空蝉丸に3人が笑っていると、最後に彼らのリーダーが姿を現した。
ダイゴ「おぉ!!もう集まってたか!!!待たせたな!」
ノブハル「俺達も今着いたばかりだよ。」
ダイゴ「そうかそうか。……アミィ!イアン!ひっさしぶりだなぁ!」
半年前に1度日本に戻ってきたダイゴはノブハル、ソウジ、空蝉丸には会っていた。しかし専ら海外にいる2人には誰も会っていないので本当に久々だ。そして、この6人で揃うのも。
イアン「ほんとに久しぶりだなぁ……。ソウジやアミィが大きくなってて驚きだよ。」
アミィ「え〜!私2年前も十分大人だったのにぃ!」
ノブハル「日本では18歳はまだまだ子供です〜」
アミィ「うわぁ、うっざい!」
わちゃわちゃした雰囲気が流れ、久々の再会に各々の近況報告や懐かしい思い出話をして気がつくと3時間程経った頃。
スピリットベースに敵出現の情報が入った。