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□【17 刹那と悠莉】
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【17 刹那と悠莉】

駅前に午前10時30分に待ち合わせ。
私はぴったりに駅に着く。
そこにはもうすでにせっつんがいた。

バンドを組んで仲良くなってからは刹那くんのことを私は『せっつん』と呼ぶようになっていた。
蛍とかかなとみんなで遊ぶことはあったけど2人で出かけるのは今日が初めてで少し緊張していた。

「せっつん早いね?待った?」

「全然待ってないよ、僕も今来たところ。」

今日はせっつんと映画を観に行く約束をしていた。
かなや蛍は映画とか興味なくて、いつも家でDVDを観てても騒がしい。
その点せっつんは1人で映画とか観に行くくらい好きらしく、私と同じ映画を観たがっていたので今日は2人で行くことになった。

「いつも騒がしいのがいるからこんな落ち着いてるの久々だね(笑)」

「そーだね。僕は大人しいってよく言われるけど、仲良い子は騒がしい子が多いから不思議な感じ。」

「たまたま同じの観たいってせっつんが言ってくれてともも良かったよ。」




映画を観終わって、ストーリーについて語ったりキャストについて語ったりして街をぶらぶら歩いていた。

たまにはこーゆう落ち着いた感じもいいな、と思っていた。

「悠莉ちゃんお腹すいた?お昼過ぎてるしご飯にしない?」

「お、ともも同じこと考えてた!どこかお店入ろう。」

私たちは近くのカフェでランチをすることにした。

かなとはファミレスとかばっかりだからこーゆうお出かけは新鮮で楽しいな。

「悠莉ちゃん、バンドの新しい曲覚えた?あのバラード僕のキーボードソロから始まるからかなり緊張するんだよね。」

「せっつんなら大丈夫でしょ!そう思ってかなも曲作ってると思うし。」

私たちのバンドはかなが曲を作って私が作詞をほとんどしている。
かなも作詞することがあるけど、かなの作詞は思いをストレートに伝える系が多いから言葉が同じになりやすい。

「せっつんの作った曲あるじゃん?あれ、とも好きだな〜〜」

せっつんも今回は一曲だけ作詞作曲をしている。
せっつんらしい優しい曲で私も今回の新曲の中でもかなりお気に入りだ。

「いや、曲作るのって難しいね。キーボードパートはすぐにできてもその先ができないからみんなのパートは奏くんに相談して作ったんだよ。」

そう考えるとかなはすごいな。
全パートを1人で考えて作れるんだから。




そのあと、私の寄りたいお店を見て回って洋服を買ったりするのに付き合ってくれた。
時刻は午後8時を回っていた。
そろそろ帰る時間かな。
せっつんは私を送ってから帰るから、あんまり遅くなりすぎるのも悪いし。

「せっつん、そろそろ帰る?」

私からきり出す。

「悠莉ちゃん、最後に寄りたいところあるんだけどいい?」

「全然いいよ。」

せっつんが寄りたいところとは興味がある。
いつも周りに合わせるタイプだから。




せっつんの寄りたかった場所について驚いた。
街はずれの少し丘を登った公園で、そこから私たちの街の夜景が綺麗に見れた。

「せっつん!すごい!すごい綺麗!!」

夜景なんてなかなか見に行かないからテンションが上がる私。

ニコッと笑って、

「気に入ってくれているよかった。」

と答えるせっつん。
スマートにエスコートできる子だな、この子は。
そう思った。

「ここね、僕の秘密の場所なんだ。だから悠莉ちゃんも内緒にしてね。」

「秘密の場所、教えてよかったの?」

「悠莉ちゃんならいいやって思ったんだ。それに喜んでくれたから僕も嬉しい。」

少し照れる。
せっつんの家は代々音楽をやっていて、親が割と厳しくて音楽に行き詰まったときとかにここに来るらしい。

今日は知らないせっつんが見れて嬉しかった。
すごく大切な日になったと思う。



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