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□【16 バイク】
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【16 バイク】
かなちゃんが免許を取った。
唄ちゃんも免許を持っていていつも羨ましがっていた。
それと自宅から電車に30分乗るのがめんどくさいんだって。
かなちゃんがバイクに慣れるまでは絶対に乗らないって言っといた。
だって怖いもん(笑)
「悠莉〜〜今日バイトないから、バス停まで一緒に帰ろう〜〜!」
「お!いいよ〜〜えみちゃんがバイトなくて予定ないの久しぶり!」
えみちゃんは基本バイトか遊びで忙しいから私と一緒のバス停なのになかなか帰ることはない。
「地元帰ってから遊ぶんだけどね〜〜(笑)」
あ、やっぱえみちゃんはえみちゃんだ(笑)
えみちゃんと今日の授業の話とか、部活の話をして校門まで歩いていた。
校門の前が人だかりになっている。
驚いて様子を見に行こうとするえみちゃん。
正直私はめんどくさかったけどついていく。
校門の前に1人の男の子が立っていた。
その姿を見て驚いた。
かなじゃん!?
たくさんの女の子に囲まれて話をしてるかながこちらに気づいた。
「よお、とも!迎え来たぜ。」
誇らしげに言う、かな。
その手には買ったバイクがあった。
バイク乗れるのがすごく嬉しくて、わざわざうちの学校まできちゃったわけか。
「かな、ともはかなが慣れるまでは絶対に乗らないって言ったよね?それにこんな目立つの恥ずかしいんだけど。」
周りの女の子たちがいろいろ話てる。
ざわめき出す。
「え?もしかしてこのイケメンくん、佐原さんの彼氏?」
「えー羨ましい!めっちゃかっこいいんだけど。」
「私、めっちゃタイプなんだけど。」
ここでただの幼馴染です。って言ったらかなの連絡先聞こうとみんな必死になるんだろうな。
でも、彼氏って言ってもまた学校中の噂になるんだろうな。
どっちもめんどくさいな。
考えてるうちにかなが、
「俺こいつの幼馴染。んで、迎え来ただけだから帰るわ!」
強引に私の腕を引っ張って無理矢理ヘルメットを被せ、バイクの後ろに乗せる。
「ちょっと、かな、怖い怖い!」
無視してそのまま走り出す。
本当に強引なんだよな。
えみちゃん本当にごめん。
あとでえみちゃんに謝っておかなきゃ。
「とも、ちゃんと捕まれ!落ちるぞ。」
「かな、もっと丁寧に運転してよ!怖い。」
「怖くねぇよ、風気持ちいだろ?」
確かに爽快感はあった。
誰かの後ろに乗るのは唄ちゃんに乗せてもらったぶりだな。
かなの運転は正直怖いけど、楽しんでる自分もいた。
かなの腰に腕を回してギュッと抱きつく。
それを合図のようにかながスピードを上げる。
そのままかなの家まで無事に帰ることができた。
もうしばらく乗りたくない。
次の日から『佐原悠莉の幼馴染のイケメン』は有名人になっていた。
いろんな人に質問攻めにあったり、写真をくれと言われたり、大変だった。
しばらくかなはうちの学校出禁だな。
次の学祭の事も考えてめんどくさくてため息が出た。