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□【08 学園祭1】
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【08 学園祭1】

「ねえねえ、今日奏くん来るんでしょう??私初めて見るから楽しみなんだけど!」

教室でメイド服に着替えてる時にえみちゃんが嬉しそうに話しかけてくる。
あれからかなの写真を見せてかなとの話をしてからまるでアイドルのファンのようにかなにハマってしまったえみちゃん。

「うん、まあね、来てほしくなかったんだけど強引なやつだから…」

気まずそうに私が答える。

『ファンタジック喫茶』という名前の私のクラスは、まるで絵本に出てくるような様々な衣装で接客をする。
えみちゃんはアリスの格好をしている。
私はなぜかうさぎのカチューシャをつけてアリスの世界に出てくるうさぎのメイドバージョンみたいな衣装。

「奏くんが篠原先輩の弟とか!ちょーテンション上がる!男っ気ない悠莉が篠原先輩と仲良い理由がわかったよ!」

いつもハイテンションなえみちゃんだけど、今日は一段とテンションが高い。

「唄ちゃんとのライブはラストだから、えみちゃんも暇だったら見に来てね?」

一応誘っておく。
そんなの当たり前じゃん!という顔で、

「最前とるから!篠原先輩のファンクラブ入ってるくらいなんだから私は!」

ともよりも身長が高く、整った顔立ちに外見はチャラそうなのに優しくいつも笑顔な唄ちゃんは校内でファンクラブができるほどの人気者だ。

「篠原先輩、私の顔覚えてくれてるのかなー。」

と、少し寂しそうにしゃべるえみちゃん。
ファンクラブがあるだけあって、休み時間や放課後はほとんど女の子が周りにいる状態。
ましてや1年生なんて話す隙もない。

「ライブいつも最前で見てくれてるし、ともの友達だから覚えてると思うよ。」

えみちゃんを励ます。

「だよね!今日の学祭めっちゃ盛り上がりそう!ちょー楽しみ!!」

いつものえみちゃんに戻っていた。
喜怒哀楽が顔に出やすいところは本当に可愛いな、と思いながら私も微笑む。

「そうだね。楽しみだね!」

かなが見に来ることなんてどーでもいいや!
とりあえず学祭を楽しもう!!



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