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□【02 出会い】
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【02 出会い】

「悠莉〜!放課後みんなで西高の男子とカラオケ行くんだけど悠莉も行かない?」

「西高?」

「おっ!食いついた珍しい〜いつも男子とかに無反応なのに。」

高校に入ってできたグループの友達のえみちゃんが驚いたという顔でこちらを見ている。
みんな彼氏がどうとか、体育の先生がかっこいいだとか、誰と誰が付き合ってるとか、そうゆう話が大好きだ。
私は正直まだよくわからない。
たくさんの男の子と交流のあるえみちゃんに合コンに誘われても断ってばかりいる。
でも今日は西高というワードにひかれた。

「西高の、なんいう子が来るとかわかる?」

「えー?そこまではわかんないよ!私の知り合いに向こうの友達何人か連れて来てもらうんだから。」

西高には私の幼馴染が通っている。
合コンとかに行くタイプじゃないけど、なんかひっかかるから今回は参加することにした。





カラオケについて、西高の男子共がガヤガヤ騒いでいる中にやっぱりかなはいなかった。
ちょっと安心したような気がしたけど、よく考えたらかなに直接聞けばよかったと後悔をする。

「え?マジ??悠莉ちゃん合コンとか初めてなの!?」

「そうなの!この子男っ気なくてさ、合コン誘ってもすぐに断るの。でもなんか西高なら行くって。」

「えー可愛いから結構遊んでると思ってたのにギャップだわ〜(笑)」

初対面の人に失礼なやつだな。
遊んでそうとかお前らと一緒にすんな。
とキレかけたけど思わず出てきそうな言葉を飲み込んで、

「えーそう見えるかな?西高に幼馴染がいるから気になっただけ。」

他人に向ける用の笑顔で答える。

「え?それ私初耳だわ!まさかその子のこと好きとか!?」

えみちゃん、余計なこと言うなよー!!!
予想通り西高の男子共が食いついてきた。

「マジか!なんて名前??何組??俺らの中に友達いたら面白くね?」

「私も気になる〜!詳しく教えろよ〜悠莉。」

テンプレ的なやりとをり目の前にしてちょっと笑いそうになりながら、仕方なく答える。

「篠原奏って言うんだけど、何組かまではわかんないや〜。知ってる人いるのかな?」

西高がざわめく。

「篠原奏か〜、そりゃ男に興味ないのも納得。」

「えー?それどーゆう意味?」

「成績優秀、運動でも音楽もなんでもできる。先生や先輩からも文句なしで好かれてる、スーパーマン!しかもいいやつ!」

「わー見てみたい!!写メとかないの?」

一気にその場が『篠原奏』の話題で盛り上がる。

「え?奏くんの幼馴染なの?僕めっちゃ仲良いんだけど?」

西高の男子共の中で1番大人しそうにしていた男の子が話し出した。

「マジかよ刹那!?篠原にこんな可愛い幼馴染いるなんて聞いてないぜ?!」

「いや、僕も初耳だよ!?」

「確かに、刹那と篠原話してるのよくみるわ。でも篠原ってどこか冷たそうってかとっつきにくいてか、クールなオーラあるよな。」

その言葉に思わず笑いそうになる。
かなは人見知りなだけで本当はよく笑うしバカなことも言うんだけどな。
なんて思いながらかなのことを考えて今日のことをかなに話してやろうと思っていた。

「悠莉さんっていったっけ?僕、林刹那。奏くんのお友達だよ。改めてよろしくね。」

華奢でカッコいいというより可愛いの方が似合う、いかにもいい子そうな男の子がこちらに話しかけてくる。

「こちらこそ、奏と仲良くしてくれてありがとうございます。奏のお友達に会えるなんて思ってなかったからびっくり。」

「ううん。僕の方こそいつも仲良くしてもらってるよ。」

そのあと耳打ちでこっそり、

「本当はクールでもとっつきにくくもないよね、奏くんって(笑)」

にっこり笑って林刹那くんは付け足した。
私もつられて笑いながら、

「本当にね。あいつバカでしょ?(笑)」

その言葉に頷きながら笑う林刹那くん。
なんかとってもふわっとした空気感のある子だなと思いながらかなと本当に仲良くしてるんだなとこっちも和んだ。

「なんだよー刹那に悠莉ちゃん取られたわ〜。俺も篠原と仲良くしとけばよかった。」

1番うるさいやつがくやしそうな表情を見せながらがっくしとポーズする。
それが面白くて全員が笑う。

「悠莉、今度はそのスーパーマン奏くんとやら紹介しなさいよね!」

えみちゃんらしい言葉に笑いつつ、そっか、かなの話なんて学校でしたことなかったんだ。
と改めて思った。




そのあとは林刹那くんとかなの話をして、なんとなく楽しく終わった。
連絡先も一応交換して今度は奏と3人で遊ぼうと約束をした。

そういえばかなとも自分の学校の友達の話なんてしたことないかも。
今度してみようかな。




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