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□【01 未来】
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【01 未来】
12月3日、日曜日。
肌寒くなってきて冬物の服をたたんでる彼女に向けてか1人つぶやく。
「今日はあいつの命日か。」
なんとなく口にした言葉をもう一度頭の中でリピートする。
知ってるくせに彼女が口にしなかった言葉を自分が言ったことに少し後悔をする。
「…そうだね。」
重い空気が流れる。
でもこの現実から目をそらしてはいけないと思うからこれは乗り越えなければならない。
こちらの少しの後悔に気づいたのか、彼女はすぐに笑顔を作り言葉を付け足す。
「寂しがりやの人だからちゃんとお話しに行かないとね。みんなにも連絡して一緒に行こうか?」
その笑顔に込められた意味に気づかないフリをして自分も笑顔で答える。
「そうだね。そのあと久しぶりにみんなでご飯でも食べに行こう。」
「春がまだ小さいから遅くまではダメだよ?それに飲みすぎもダメ!」
今度は本当の彼女の笑顔にほっとする。
「わかってるって。それにみんなも仕事とかあるだろうし。」
「そうだね。あはは。考えてみれば不思議!もうそんなに経つのか〜〜」
本当に時間の流れは早くて、自分も昔を思い出す。