虚言の魔導師と美術館
□不思議現象第2弾
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結局イヴと一緒に元いた場所に戻り、調べられそうな場所をもう一度確認する。
でもやっぱり扉の先は穴ボコで進むことができなくて、ボクらは頭を抱えていた。
「ウーン…コレは詰みだネェ」
「……」
「ン?イブ、どうしたノォ?」
ふと気が付けば、イヴはボクの傍らでうつむいている。
「…イヴ?」
よく見れば、その顔には血の気がなく、小さな身体は、小刻みに震えていた。
「……イヴ。ダイジョウブ、大丈夫ダヨォ。キット、出口は見つかるカラ」
でまかせの優しい言葉を投げかけて、そっと頭を撫でてやる。
おそらく、不安になってしまったんだろう「ねぇ」。
いきなりよくわからない場所に迷い込んでしまい、いろんな怖い思いをしても、出口を目指して進んできた。
にもかかわらず「おーい」、扉の先には違う部屋で、カタコトに喋る見知らぬ人がいて、しかもその部屋のにある扉からはどこにも行けなくて。
そんなの、不安にならないわけがn「ねえってば」………
「だぁぁぁ!!モウ、ウルサイヨォ!」
「あ、やっと きづいた」
「『やっと きづいた』じゃナイヨォ!空気読めヨォ。さっきまでのシミジミシリアス返せ!」
思わず怒鳴りながら声のしたほうを見れば、そこにはさっきもいたありんこ。
「ねぇ、ぼくのえ みた?」
人の話聞いちゃいねぇ。
「ぼくのえ あっちのほうにある。みたいけど とおくてみにいけない」
「ウンウン。ソレはさっき聞いたヨォ」
「でもぼく そのえ みたい」
「ヘェ、ソウナンダー」
「……」
「……」
「…………」
……持って来いってか。
確かにさっき行った通路の奥にありんこの絵があったし、たしか少し力を加えれば外せそうだったと思う。
「イヴ、ボクは絵を取りに行くケド、ドウスル?まだ気分悪かったラ、無理しなくてもイイケド」
「ううん、大丈夫。私も行くよ」
さっきのボクとありんこのやり取りで、いくらか気が晴れたようだ。
先ほどよりも顔色が良くなっている。
それに、考えてみれば一人置いて行かれるよりもついて行った方がイヴ的にも心強いのかもしれない。
「よし、ジャア行こうカ!お前はソコから動くなヨォ」
ありんこに念を押し、イヴもこの顔色なら大丈夫だろうと、彼女の手を引いてもう一度通路に戻った。