大好きなオレンジ色

□出会い(2)
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濃い霧が立ち込める廊下の中を進んで行くと,一部視界の開けた場所に辿り着いた.そこには窓をガタガタと動かしたり辺りをキョロキョロと見渡す亡者がいた。着用しているものは白いワンピースだけという亡者にしては簡素な服装だった。

俺はゆっくりと亡者に近づく。すると亡者は俺の存在に気付いたらしく,怯えたように俺の顔を見つめてきた。まぁ俺の姿を見て怯えない亡者はいないだろう。今迄もそうだったからだ。

「 …… チッ … 手間かけさせやがって」

此処に辿り着く迄どれだけの郎力を費やしただろうか。ただ、ここに住み着く亡者を保護するだけの簡単な任務だった筈だ。イライラする俺の内心を深い溜息で抑えながら俺はゆっくりと続けた。

「 … 俺は獄卒.お前を──亡者のお前を捕らえに来た.」
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