大好きなオレンジ色
□プロローグ
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暗闇の中,私は目を覚ます.
辺りは黒い絵具で塗り潰した様な暗闇.
自分の姿さえも確認する事が出来ない.
勿論,場所や自身の名前さえも.
横になった身体は,
縛り付けられているように動かない.
私はさっき迄,何をしていたっけ.
思い出そうとすると,ノイズが邪魔をする.
私はこれからどうなってしまうのだろうか.
… 分からない,解らない,わからない,ワカラナイ.
暗闇は,私の思考さえも可笑しくさせていた.
……… 苦しい.
呼吸が止まっていく感覚.
これは初めてでは無いような気がするな.
もう呼吸なんて止まってしまえば良い.
そうすれば楽に … 成れるのに.
私は二度と開けまいと目を瞑った.
目を瞑ると幾分,楽になった.
徐々に,眠る時の様に,
意識も薄れていく.
徐
々
に ………
その時,
突如私をオレンジ色の光が包む.
まるで,天気の良い日に,
日向ぼっこをしている様な,
そんな感覚.
私は、瞑っていた目を,
ゆっくりと開けた.
あれ程動かなかった身体も,
自由に成っている.
ゆっくり身体を起こした私は,
直ぐに光の差す方へと目を向ける.
光の先に人影が見えた.
見覚えの無い人影なのに,
何故だろう,目から熱い物が流れて来ていた.
何 で ??
其処で私の意識は途切れる.
──気が付くと,私は廃校舎の教室に居た.