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□キスから始まる甘い夜
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「たまには、ソファで寝ちゃう?」
LEDだとかなんだかよくわからない明るいライトを遮るように、だいちゃんの顔が俺を覗き込んだ。
夜中まで2人で呑んで、別に酔っ払っているわけではないけど、いい気分。
そのまま何かを思いついたかのように、ソファに寝っころがる俺と背もたれの間に無理矢理押し込むように入ってくる。
「せま…」
「じゃあ、入んな。」
窮屈になったソファで向かい合うように寝そべると、俺の背中でもぞもぞと大貴の手が動く。
そのかわり、俺も大貴の後頭部に手をまわして指に髪の毛を絡ませた。
「キス、してい?」
「あ、確認取るんだ…?」
てっきり、がっついてくると思ったから。
なんて付け足すと、俺はそこまで盛んじゃないよみたいな、余裕そうな顔。
よくよく見たら、こいつ俺より可愛い顔してんな…
「で、してい?」
「好きなだけいいよ」
重なった唇は乾いていて、すぐに離れる。
期待を込めて大貴の頭を引き寄せた腕は、空回りだった。
「…それだけ?」
「これだけ」
つい、視線が大貴の唇に移ってしまう。
もっと、熱くて溶けちゃうようなのがしたいのに、その口は使い物にならねぇのか。
「キスしていい?」
「ダメ」
ぴとっと唇に触れたのは、期待を予想通り裏切る大貴の指先。
「なんで?」
大人になった俺たちって、こういうキスの問題じゃなくて、別れるとか口聞かないっていう問題が起きるかと思ってたから。
別に余計な心配しなくていいから気は楽だけど。
「抑え効かなくなるだろ」
そういうこと言われると、また別の問題が起きるわけで。
「いいよ、しよ」
だめだめ、なんて俺から逃げようとする大貴の腕を引っ張ると、重たい体が俺に乗っかる。
「いってぇ…」
「ほら、」
胸元を開けてみたりして。
大貴の膝に自分のを当ててみたりして。
ちゅるっとリップ音をさせて、大貴の舌が首筋を這う。
熱いそれは慣れたように移動していく。
「んっ、大貴…」
自ら望んだものだから今更拒否してはいないけど、もどかしいその行為に体が揺れてしまう。
「山田、痩せた?」
確認するように体を滑る大貴の手は、太ももを撫でてから頬を温めるように触れた。
「お前が太っただけだろ」
「…おい」
なんて大貴の声は低いけど、自然に上がってしまってる口角を見て、つられて笑ってしまう。