HQ小説
□始まりの夏
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トーキョー遠征では様々な学校と対戦をする。その中には因縁ライバル、音駒高校もいる。
強い相手と戦うのは楽しい。ワクワクする。新しい何かを発見できる喜びがある。トーキョー遠征は、俺たちが強くなるのに大切な第一歩だと思う。
__だが、ただひとつだけ。
ひとつだけ、素直に喜べないことがある。
「リエーフーッ! 次は負けねーかんなーッ! アッ、研磨も!」
「次も勝つのはオレたちだー!」
「……翔陽はホント、夜でも元気だね。おやすみ」
それは、灰羽リエーフや孤爪研磨……さんなどの日向の新しい友だち。
ソイツらが日向と話すのを見てると、なんかこう……。
よくわかんないけど、サーブがネットの手前もしくはネットに当たって落ちた時のあのもどかしさのようなものを感じる。
「クッソー……マジリエーフでけー! うらやましー!」
ワクワクとした表情と、少しの悔しさ。
それになんだかムッとしてしまって、日向の頭を強めに叩いた。
「ワっ!? いってーな、何すんだ影山!」
「……テメーがうるさいのがワリィんだろ」
そう言い放ち烏野が寝泊まりする部屋に一人で向かった。
__その途中。
「みーちゃった!」
やけに弾んだ声色の菅原さんが、俺の前に現れた。
「……菅原さん、ミーティングは」
「ンー? あぁ、10分後くらいにあるよ」
「あぁ、……で見ちゃったっていうのは」
「あー、んとね」
ニヤリ、底意地の悪そうな、ワル餓鬼のような、そんな表情。
「音駒のセッターとハーフに、影山がヤキモチ焼いてるトコ」