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□かぜひきの
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51side


どれくらい寝ただろう
しらぬまに夜中の11時になっていた

インフルは治ったが
風邪が長引いてるらしい

これが舞台中やったら…
と鳥肌が立つくらいしんどい



ぼーっとする、めがまわる、熱い


このまま溶けてなくなるんちゃうかなんて事を思う

こういうとき彼女とかいたらなぁ…なんて

仕方ない、別れてしまったのだから
思えばわがままな奴だった。

きっぱり別れるし引きずることはしない

もしかしたら
彼女はさほど俺の心を占める存在ではなかったのかもしれない




人肌恋しいわ〜

最後触ったの剛やんけ…




うぅ…と寝返りを打ち
寝室のケージに入っている愛犬パンと目があう

ごめんなぁパン…後でご飯やるからなぁ



《ヴーッヴーッヴーッ》
携帯が鳴る

誰や…マネージャーか…



『あっ、おはようございます、風邪の調子どうですか?』


「う〜ん…まだしんどい…」


『そうですか…ご飯食べてます?』


「んん…食べれてへん…」


『ええっ!それじゃあ風邪治らないですよ!』



『じゃあ僕今からご飯作りに行きますね
スケジュールとかの話もしたいので』



「おぅ…わかった…すんまへん…」


すんっと鼻水をすすって起き上がる

節々が痛い

パンをケージから出すすると
「クゥン!」と鳴く

お前だけやわぁ…ずっと居てくれるんわ…


体に毛布を巻きつけながら

餌をあげたりしていると
玄関のチャイムが鳴った


インターホン越しにマネージャーを確認する



「入ってええよ〜…」


『入ります〜大丈夫?…じゃないっすね…』


スーツ姿で両手にはスーパーで買った食材が入っていた


「お前は彼女みたいやなぁ…」


『なんですかそれ〜
あ、隠れて同棲とかやめてくださいね本当、最近事務所大変なんですからスキャンダルで…』



苦笑いを浮かべながら



「剛…どうやった?」

『剛さんですか?元気ですよ〜いつもと変わらない感じで』


「よかったよかった」

ソファに寝転び

パンを抱き上げてお腹に乗せる


「え?…お粥つくれるん?」


『多分大丈夫です!さっき剛さんが美味しいお粥の作り方教えてくれたんで』


「え?」


『これから光一さん家でご飯作るって言ったらわざわざ紙に書いてくれて教えてくれました』




単純に嬉しかった
わざわざ作り方まで教えるなんて

ふふっ

あほやなあいつ…ほんまあほや


「あいつゆっくりさんになったもんなぁ」

『なんかまた穏やかになりましたよね〜?』



剛は穏やかになった
穏やかというかまたひとつ老けたのか


『喋り方も更にゆっくりになりましたよね』


「ふふっ…」





『もしかしたら…私生活が上手くいってるとか…』



「え??」



心臓が跳ねる音がした
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