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□ほんとはしってる
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そう言われたのは

運ばれてきた刺身を
割り箸でつまもうとした時




『なんかほっとけない人っていません?』




ソロライブが終わりみんなで飲んでいる時

スタッフの女の子が放った言葉



「ん…いるかぁ?いるかなぁ…」


『しっかりしてるようで変なとこでどじったりとか』

「あ〜いるなぁ…」



まぁ
あいつしかいないけど
もう1人の、どーもとさん。




『そういう人をかまってると知らないうちに好きになっちゃったりするんですよね私』


『なんでですかね?』



なんでって…


そんなん俺に聞かれても
わからんけど…


「うーん
ほっとけない所が見つかるってことは、
その人の細かい事までよく見てるってことやないかなぁ?

よぉわからんけどそれで知らんうちに興味わいて…とか」


『なるほど…!』









その名前がでたのは


デザートの抹茶アイスを
スプーンですくった時






『あ〜!光一さんってしっかりしてそうですよね!』

「え?」

「こういち?あいつ?」





『はい!なんかTVとかで見てても王子様っていうかしっかりしてそうだなって
光一さんっていつもどんな感じですか?
やっぱりきちんとしてますか?』





「めっちゃきいてくるやん、好きなん?」


『いやいや違いますよ!』

慌てふためく女の子




こんな事は稀な事ではない


昔は特に多かった

ドラマ共演者の子にまで光一くんの写メちょうだい〜などと言われる始末



そのたび


"メアドしらんしなぁ"

とあしらっていた






「かお赤くなってますやん笑」




『昔、光一さんのファンだったんです』



ほら

最近多いのは
昔ファンでしたパターンの子たち


光一は… あいつは…


気付いたら壁と同化しとるし

おばけか!って思うくらいオーラ無いし

たまに話振ると
「ふぇ?なぁに〜?」とかふにゃふにゃな変な返事するし

年々目離せない…



「……」

『剛さん??』


「いや、光一はまぁ…ん〜…わからん!」


『えぇ〜!やっぱり普段会話とかしないんですか?』



「ん〜そやねぇあいつの電話番号もしらんもん」


『ほんとですか〜?えぇ〜』










その会話が終わったのは


スプーンの上に乗っていた
抹茶アイスが溶けた時




「………」




ほんとは誰よりも知ってる

誰にも教えたくない

俺だけが知っている

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