なつみかんに25のお題
□キスがしたい
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今は放課後。
オレンジに染まった日差しが二人のいる初等部B組に差し込む。
教室に残っているのは神野先生に補修として残された蜜柑とそれに付き合っている棗だった。
「棗〜〜〜〜!ここ分からん!」
蜜柑はほとんどの問題が分からないため、先程からなかなかページが進んでいない。
「またかよ……」
棗は蜜柑のバカさ加減に呆れながらも丁寧に教えてあげていた。
そして蜜柑は分かってきたのか棗への質問回数が減っていった。
蜜柑が暫く問題を解いていると…
「蜜柑…。キスがしたい」
棗が蜜柑の耳元に顔を近づけて言った。
「は、はぁ!?アンタなに言って……!」
蜜柑は顔を赤くする。
そんな蜜柑にお構い無しに棗は蜜柑の頭を抑える。
身動きの取れない蜜柑。
棗の真っ赤な瞳と視線が絡む。
そして、ゆっくり棗は蜜柑に顔を近づけていく。
蜜柑は動かぬまま、顔を赤くして顔を伏せるのだった。
「顔、上げろ。できねぇじゃやねぇか」
棗は不満そうに蜜柑の顔を上げさす。
蜜柑は観念したのか棗の方を向くと目を瞑った。
棗はそれを見ると、ゆっくり蜜柑の唇に自分の唇を押し当てた。
「………ん」
蜜柑から声が漏れる。
そのまま二人はずっとキスしていた。
今日は君がとても愛しい日。