長編

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また美優紀はこやんくなった。

早く 話したかった。
でも正直まだ恐怖心はある。

きっと先に山田と向き合えって事
なんや

山田を家に呼んだ。

あの日以来ちょっと気まずい関係になってしまって

あまり会話はしてなかった。

でも向き合うって決めたんや

山田を家にあげて
部屋のベッドに座らす。

その前にお茶とかとってこようと思って山田に背を向けたら

山田はいきなり声をかけてきた。

『…あっこの写真彩がちっちゃい頃の写真?』

「…あぁ、うん」

『…可愛いな。横の女の子って…』

言うなら今しかない。

今逃したらきっと言われへん

「…なぁ山田」

『……なに?』

「…俺、山田と付き合えてよかった
山田の彼氏にしてくれてありが…」

『…嫌や』

「…えっ?」

『嫌や!!なんでそんなんいきなり言うん⁈もう私ら無理なん⁈
私は彩が好きやのになんで?
ずっとずっとおもってきたのに
どんだけ待っても彩の気持ちは
私には向かん。
私はなにをしてもダメなんや…』

「…山田……ごめ」

『なんて言ってもなんも変わらんのはわかってる。
私と別れたいんやんな?
あの子、見つかったん?
ならよかったやん。
わかった、別れよ。
……........なんて言われへん』

「…山田?」

『…幸せになってねなんか言われへんぐらい、自分でもどーしようもできやんぐらい、彩が好きやねん。
大好きやねん、どーしよごめん』

「…ごめんっ…やまだ」

涙を流す山田に俺もなんでが耐えきられへんくて涙がでてくる

『…最後のお願い。
最後に….抱きしめて?
菜々って名前で呼んで?
そしたら諦めつくから。
……..お願い』

涙でボロボロになる山田に
近づいて山田の前に膝をつく

「…….菜々」

そのままギュッと抱きしめて
名前を呼んだ

そしたら山田も俺の背中に
腕を回す

「…好きやったよ」

山田を好きになり始めてた

なにがあっても隣にいてくれる
笑いかけてくれる山田。

でも俺は貪欲やから
どうしても忘れられへんあの子を
取ってしまうねん。

最低。クズや。俺は人間のクズや

「…ごめんな。俺ほんまに...クズや
最低や。山田に苦しい思いしかさせへんかった。辛い思いさせたな。
ほんまに.………ごめんなさい」

『…彩はほんまに優しいな。
彩と付き合って辛い事なんかなかったって言ったら嘘になる。
けど、それ以上にいい事もあったし喜びもあった。
だから彩は自分を責めたらあかん
彩は最低でもクズでもない。
彩は…山本彩や。
私にとって最高の彼氏やったで』

「…菜々…ありがとう」

その日はずっと抱きしめた

ただ抱きしめる事しか出来やんくて
ずっと抱きしめた

散々泣いて山田を家まで送った時、

山田は俺に、笑った。

いつもの笑顔よりぎこちなく

ありがとう

って涙を目に溜めて。
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