長編

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文化祭2日目。

美優紀とはあのまま。

なにも話してない。
てか朝も山田の家行ったら山田しかおらんかったし。

山田だけやったら静かなもんやな

「山田、最近調子どうや?」

『空回りしてんの、バレバレやで』

空回り?俺が?
そんなんしてるはずないやろ

『みるきーやろ?』

「…美優紀」

『みるきー、昨日ずっと泣いてたで?彩は気付かんかったかも知らんけど、みるきーずっと彩の事誘おうとしててんで?』

「美優紀が?」

『うん。買い出しの時、店番終わり、片付けの後。何度も何度も彩に話しかけたのに、彩は忙しくて無理やった』

確かに美優紀は何度も話しかけてくれてた。

やのに俺は、余裕がなくて一人で空回りして

山田の言うとおりなんかもしれん

とりあえず学校に行ったらもう始まる言われて美優紀と話ができやんかった

2日目の店番は美優紀と一緒ちゃうから顔も見られへん。

美優紀、こんな気持ちやってんな

それに美優紀おらんからやる気もでやん。

かっこいいとこ見せようとも思わんわ。

岸『彩ー。来てやったでー』

「…らっしゃーい」

『おいお前聞いてたんとちゃうで!
お帰りなさいませご主人様やろ?』

「…ごめん。なんか乗り気ちゃう」

『おいおい彩どーしてん?
ゆーりちゃんなんか知ってる?』

『….わからないです』

はぁ。
岸野らの会話も入ってこやん

それぐらいぼーっとしてる

『…彩!!!』

「…上西?どうした?」

いきなり上西が教室に入ってきた

まだ店番交代の時間ちゃうのに

『彩ちょっと来て!』

「なんやねん。いま店番中やから…」

『…み、みるきーが!た、体育館の舞台で…..』


美優紀。

その言葉だけで体育館に走り出してしまったのはなんでやろ。

たぶん、美優紀が好きやから。

気付いたら体育館の舞台の上で中央に花で囲まれた美優紀がおった。

「…美優紀。美優紀!」

舞台の下におる客なんか見えへん。

ただただ俺は美優紀を抱き寄せた

「…美優紀ごめん。俺が間違ってた
俺な、ずっと美優紀と文化祭回りたい、後夜祭一緒におりたいって想っててん。でも忙しくてさ、話したいのに余裕なくてカッコ悪いとこ見せたくなくて、カッコつけてた。
ほんまは俺、カッコ悪いねん。
美優紀と一緒に店番しなやる気もでやんしライブだって集中できやんくてうまいこといかん。
俺美優紀が居らなあかんねん。
お願い美優紀….俺の側におって」

全ての想いをぶつけて美優紀の唇を引き寄せた。

シンデレラみたいで人前でやるには恥ずかしいこと。

でもこの時の俺はそんなん考えることなんかできやんかった。

『...彩….ちゃん』

やっと目覚めた美優紀の目に溜まる涙。

でもちゃんと見れた。

美優紀の目も顔も。

『彩ちゃん…好き』

「俺も好きやで。
後夜祭、一緒に見よな?」

『うん!』

やっと美優紀の笑顔が見れた。

でも前を見たら生徒やお客さん全員に見られてしまっていた事にようやく気付いて顔が真っ赤になった
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