長編

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6限目、体育。

今日は生憎の雨。

体育館を半分に分けて
女子も男子も体育館で体育

やっぱり体調が優れることはなく
時間が進むのが遅く感じた。

時間が過ぎるごとに
重くなる身体と熱っぽさが

身体中を駆け巡る。

それでも無理やり身体に
言い聞かせて体育に出た

(それじゃあひとチーム……)

今日はチーム戦か。
どーしよ

あんまクラスの人と喋らんからなー

『山本君、同じチームやで
よろしくな!』

チーム戦の事で考え込んでたら
誰かが話しかけてくれた

「…えっと……」

正直誰かわからん

クラスであんま喋らんし
話しかけてくるやつもあんま
おらんかったから。

『あ!上西恵やで。
これからよろしくな?』

上西恵は俺と握手をして
去っていった。

なんなんやあいつ。
ハイスピードすぎるやろ

(ピーっ。プレー開始)

そんなことを思ってたら
試合開始の笛が鳴る

試合が始まってしまえば
なにも考えることなんかない

試合が始まったらみんな
ボールめがけて走り出す

まぁ俺も運動神経は悪くはないし
1年時ちょっとバスケしてたから
試合ってなったら燃える。

でもさすがに体調悪い日はあかんな

体力もないし集中力もすぐ切れる

試合終わるまであと30秒

ほんであと1点あったら勝てんのに

その時、ボールが俺の足元に当たる

『彩!いけ!』

上西恵や。

回ってきたからには全ての体力を
使ってゴールを目指す

あと3秒2・1

残り1秒と同時に俺の手から
ボールが放たれて

ゴールに一直線する

いけ、はいれ。

ピピーーっ

試合終了の笛が鳴った瞬間

ボールはリングをくぐった。

俺らのチームは勝った。
みんな大喜びしてる

『山本、ようやった!さすがやな
もとバスケ部』

誰も知らんと思ってた。
だって入ってすぐ辞めたから

俺の存在を知っていてくれてたんや

それだけでこいつは優しいって
理解できる

「…上西……ありがとう」

自然と出てきた言葉やった。

その優しさにもっと触れたいと
思ってしまった。

そんな感情に浸ってるとき
ボールが思いっきり跳ねる音が
前から聞こえてきた

(クッソっっ!
おいこのボール直しといて)

そう言って男子が勢いよく投げた
ボールは俺の真横を通り過ぎる

あかん。
後ろで女子が体育してんのに

ふと振り返ったらボールは
あの転校生に向かってる

それみたらなんでか
身体が勝手に動き出してた

全力で走る
いつもの俺やったらいける

はずやってんけどさ
さっきの試合で全体力使ったんかな

足がもつれる

あとちょっとや
もう手伸ばしたら届く距離にある
ボール。

俺は今までにないくらい
手を思いっきり伸ばして
ボールを横に跳ね除けた

そして俺はそのまま地面に
叩きつけられ気を失った。
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