長編

□3
3ページ/7ページ


中学生の時、俺は軽音部やった。

けど卒業アルバムに軽音部員として
載ることはなかった。

あの子が俺の前から消えてから
俺はいつかあの子の前で自信持って歌えるように必死に練習した。

休み時間なって中庭行って
ギター弾いたり

部活終わって夜までひいたりしてた

そんなある日体育祭の演出で
バンドのコーナーがあったんやけど

ずっと親友やって言ってた子が

「ごめん彩!ギターの子が
インフルで出られへんくなってて
出てくれへん?
誰か代わり探せって言われてて
お前しか頼める人おらんねん!」

それをきっかけに
この顔面でギター弾けるからか
知らんけど

やたらと女子から好かれるように
なった。

下駄箱と引き出しには溢れかえる
くらいの手紙やら何やら入ってて

毎日のように告白された。

俺は断り続けてた。

大事なあの子を待ってたから。

けどそれが逆に周りの男子から
反感をかってしまったんかな

いじめられるようになったんや。

チャリのタイヤに無数の穴が
空いてたり
養護施設のこと、両親に捨てられたことをバカにされたり

けどそんなこと気にしてなかった

1番きつかったのは親友から
無視されるようになったこと。

呼びかけても無視
話しかけても無視

そしてある出来事を境に
俺の精神は限界に達した。

ギターがいつの間にかなくなってて
探してる間に校内放送が聞こえた

『山本彩くん、至急体育館に
来てください』

あいつの声やった。

急いで行ったらそこには
俺をいじめてた奴らが壇上におってギター持ってた

『やっときたんや。
お前の親友が自殺したいんやって
でもあと一歩勇気足らんらしいわ
お前足したってくれへん?
もしあいつを自殺させる事が
出来たらギター返したるわ
出来ひんかったら…わかるよな?』

そいつらの手にはカッターやら
なんやら持ってて

なんとなく予想できた。

きっと出来やんかった時には
ギターをめちゃめちゃに壊す

そのつもりなんやろう

「…自殺なんて…あいつが
するわけないやろ。
そんなアホな事言ってやんで
ギター返してや。
大事なやつやねん」

その一言があかんかったんかな

そいつらは目の色変えて
ギターの弦に手をかけた


プチン


あっけない音やった

あぁ、こいつら本気なんやな

そう思ったら急に焦り出して
屋上に走ってた
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ