+ Short Story +
□仲直り
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「相沢さん!ここにいちゃダメだ!」
『え!?な、何でや!?』
相談に来ただけやのに直ぐに帰った方がええ。そう言われた。
「千堂くんは…ヤキモチ焼いてるんだよ」
『え?武士、餅焼いてるん?』
キョトン、として幕之内を見る。
「いや、そうじゃなくて…妬いてる、嫉妬って言ったら分かる?」
『あの武士が嫉妬ぉ!?あははは!そらないわ!ありえへん!』
うちは腹を抱えて笑った。
『武士が焼くんは精々、餅くらいや』
「彼氏なら、妬くと思う。僕だって男だから千堂くんの気持ち分かる。好きな人が自分以外の男の人の話をしてて気分がいい人は居ないよ」
『…武士………すまん、うち帰るわ。今度は武士と一緒に来るさかい、ほなまた!』
手を振っては駅へ走り出した。急いで大阪に帰らな。武士に謝るんや!
『アカン…!時間に間に合わへん…!』
後もう少しのところで大阪行きの電車は出発してしもうた。
「相沢!!!」
向かいのホームに居たのは……
『武士……!!』
路線に飛び降りては向かいのホームへ走った。
「アホ!危ないやろ!!うぉ…!?」
駆け寄って早々、強く抱きついた。
『武士…武士…!ごめん!…うち…武士に甘え過ぎとった…ほんま…ごめん…』
「…焦ったわ…ホンマに幕之内のところに行ったって聞いて…じっとしてられへんかった…」
武士もギュゥっと抱きしめてくれた。
『ごめん…ごめんなぁ…』
「もうええ…もうええねん……」
泣きじゃくるうちの背中を優しく撫でてくれる武士。
『…ん……好きや…めっちゃ好きや…武士が…武士が好きやぁ…』
「分かったから落ち着きや、とりあえず泣き止め。周りの目が痛いわ…」
涙を拭っては笑い合う2人。
「…帰るで、理恵」
『おん、帰ろ、武士』