+ Long Story +

□第1章
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第1話「予感」


-----桜の咲かない寒さの残った季節。
そんな時、興味本位で親友の愛子と入った占いの館。
恋愛専門に占ってくれて良く当たると評判だという親友に半ば強制的に連れてこられた私だが、私は占いは信じない。よく居る良い結果は信じて悪い結果を信じないのが私。

今思えば此の占いを信じて正解だったのかもしれない。占いの館のお陰で私は彼≠ニ出逢う事ができたのだから。

『ねえ、本当に入る気なの?』

占いの館、と書かれた古びた看板が私に恐怖を感じさせた。

「此処まで来て帰るわけないでしょ?ほら、早く入ろ!」

愛子に手を引かれて恐る恐る中に入っていくと四方八方を鏡に囲まれた通路をただ道なりに進んでいった。
どの位歩いただろうか、目の前には大きな赤い扉が立ちはだかっている。

『高いお金払うだけ損だってば、帰ろ?ねえ愛子ってば!』

そんな私の言葉も無視して愛子は赤い扉をギギギ…という重い音を立てて開けた。
部屋の中に居たのは…小さなお婆さん。黙ったまま目の前の椅子に指を指して私達は指示通り椅子に腰をかけた。
数十秒ほど沈黙が続いた後、お婆さんは口を開いた。

「…4月4日…運命の相手が…お嬢さんの前に…再び現れるだろう…」

お婆さんは真っ直ぐ私を見てそれだけを告げた。それ以上は何を聞いても首を横に振るだけだった。
私達はお婆さんの言葉を不審に思いながら占いの館を後にした。

『4月4日…かぁ、』

運命の相手と出逢える、なんて聞いてしまえば流石の私でも信じずにはいられない。

「ちょっと理恵!4月4日っていったら…!」

『「入学式!!!」』

2人声を合わせた。そう、4月4日は高校の入学式の日だ。
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