+ Short Story +

□お嫁さん
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『私、お花屋さんのお嫁さんが良いかな〜』

その場が大きくザワついた。うちのジム唯一の女ボクサー、相沢理恵のたった一言で。

「オイオイ、たっつぁん!脈アリかぁ!?」

親友、青木勝が茶化す。余計な事言うんじゃねえ!

『でも。プロボクサーのお嫁さんだけは絶対にに嫌ですよ』

皆、どん底に落とされた気分だった。

「じゃあお前もボツな」

可哀想に、と青木が俺の肩にポン、と手を置く。

『此処に居る人変な人ばっかだし、唯一まともなのって…木村さんだけだもん』

鋭い睨みが俺の刺す。構わず理恵ちゃんは言葉を続けた。

『まずボクシング一筋な宮田はそもそも振り向いてくれなさそうだし…変態で理不尽な鷹村さんは論外ですよね』

いやいや鷹村さんは納得するけどよ、宮田も80%お前に惚れてるって!背中向けて興味ないフリしてっけどアイツ絶対お前に気ぃあるから!

『やっぱり木村さんがいいな〜っていってもレー子さんに相当未練ありそう。木村さんには一回振られてるし』

は!?いやいや!その前に俺告られた覚えねえけど!?いつの話だそれ!

「オイ木村!テメェどういう事だよ!」

あちこちから飛んでくる野次。

「待てって!俺、告られた覚えねえよ!」

『ふふ、はい。告ってませんもん』

クスクスと笑う理恵ちゃん。コイツ…完全に俺をからかってやがる…

「理恵ちゃん、面白がってるだろ!」

そんなこんなで会長に怒られた俺と理恵ちゃんはロードに出された。
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