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□一緒に帰ろう。
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好き。私は宮田が好きだ。
デモ、キット、私ノ恋ハ、叶ワナイ。
だって彼には---ボクシングがあるから。
『はぁ〜…何だか憂鬱』
「目、死んでるけど大丈夫か?」
後ろからいきなり声を掛けられた。相手は勿論、宮田だ。また私をからかいに来たんだろう。
『目、見てないのに何で分かんのよ!宮田の馬鹿!』
私の悪い癖。声を掛けられて嬉しいのに中々素直になれないヒネクレ者。
「何だよ、そうムスッとしなくてもいいだろ?」
クスッと笑った彼は子供の様な笑顔で私の髪を撫でてきた。
『人の事、子供扱いしないでよ!』
パシッと手を弾いたつもりが、私の手首は宮田の大きな手によって掴まれていた。
「そうムキになるなよ、可愛い奴」
あの宮田から驚きの言葉が出てきた。
『いいから愛しのボクシングの所にでも早く行け!馬鹿!』
私はそう言うと控え室を後にした。
「……愛しのボクシング…か」
1人取り残された宮田はそう呟いた。