國立図書館
□15年目の告白 一世一代の告白
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俺は今からある告白をする。15年目の告白だ。
ずっと言えなかった。言いたかった。自分の全てを曝け出したかった。
あいつはどんな顔をするのかな。そんなことを考えてしまう。
言ったら、全て終わってしまうのだろうか。まだ、続くのだろうか。
あいつには母親が居ない。あいつが小学一年の時に死んだ。
俺はあいつの家族のように接してきた。あいつに悲しい想いはさせないように出来る限りの事はしたつもりだ。
俺達は気が付いたら一緒に遊んでいた。幼馴染という奴だ。
同い年だったし、馬が合ったのだろう。
あいつの母さんは優しい人だった。二人が結婚でもしてくれたら嬉しいんだけどね、なんて事を言っていた記憶がある。
俺達は小学校も中学校も高校も一緒だった。今も二人とも同じ大学に通っている。
中学二年の時、あいつが虐められた。それを知った俺は、虐めている奴のところに行った。そいつは俺のクラスの女子で、何でも俺とあいつが仲良くしているのが気に食わなかったらしい。俺はそいつをブン殴った。それっきりあいつへの虐めは止んだ。
『話があるんだ、放課後、屋上に来てくれないか』
靴箱を空けた瞬間私はかなり驚いた。
ラブレター……かな?
そう思って手紙の裏を見ると見慣れた文字で、彼の名前が書いてあった。
彼とは大分長い付き合いになる。私達は幼馴染だった。
お母さんが二人が結婚でもしてくれたら嬉しいんだけどね、なんて言ってるのを聞いた時思わず顔が赤面した。私は彼のことが好きだった。
彼と一緒に居るほど、その気持ちは強くなっていった。
中学二年生の時、急に虐められるようになった。ある一人の女の子、それはどんどんエスカレートしていって急にプツリと止んだ。
多分彼が止めてくれたんだと思う。彼にはっきり聞いたわけじゃないけど。
話ってなんだろ?
私は屋上へ向かった。
「ごめん、急に呼び出してさ」
屋上には彼が待っていた。
「ううん。話って何?」
逸る気持ちを抑えつつ、彼に聞いてみた。
「聞いてほしいことがあるんだ」
もしかして、告白? そう思うと体中が熱くなった。
「俺は、」
『話があるんだ、放課後、屋上に来てくれないか』
そう書いた手紙をあいつの靴箱に入れて屋上に呼び出した。
「ごめん、急に呼び出してさ」
「ううん。話って何?」
夕日のせいだろうか、あいつの頬が赤く染まっている。
「聞いてほしいことがあるんだ」
すっと息を吸い込む。もう、後には引けない。
「俺は」
全身の筋肉が硬直する。それでも必死に声を搾り出した。
「俺は、」
世界が、
「15年前、お前の母さんを殺した」
止まった気がした。