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□ニャンデ蓮二!
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※仁王視点


教室のドアを文字通りぶち破ってきた彼女は、俺と目を合わせるなりずかずかと大股で歩み寄ってきた。こらこら、女子がはしたない。口走ろうとしたところで彼女は目の前にやってくるなり、俺の机にバン!と大きな音を立てて掌をつけた。鬼の形相、とはまさにこれでさすがの真田もこの顔を見たら真っ青になるだろうななんて呑気なことを考える隙も無く彼女は大きく口を開いた。
「仁王!今のアンタ本物!?」
「……はあ。」
「だから!今まさか蓮二とすり変わってたりとかしないよね!?」
「なんじゃ、柳がプピーナとか言ったんか。」
間が抜けたのか、彼女はへなへなと膝を崩して机の下へと座り込む。俺と柳がどうしたというんじゃ、と尋ねればこの女子は泣きそうな目で助けて欲しいと懇願してきた。気丈な彼女が普段話すことも少ない俺に縋るなど珍しいこともあるものだ。
「蓮二がね、変なの。」
「どう変なんじゃ。」
「にゃあにゃあ言うの。」
「……にゃあにゃあ?」
「そう。にゃあにゃあ。」
ふむ、にゃあにゃあというと猫じゃのう。しかし、柳が猫か。猫柳?んなシャレをあいつが考え付くとも思えん。他だと……菊丸?しかし接点も共通点もなかろう。あいつが仲がいいのは乾の方だったはずだしの。
「…すまんのうみょうじ、思い当たる節が全くないんじゃが。お前さんの方はないのか。猫が好きだと言ったとか。」
みょうじはがっくりと項垂れ、首を横に降る。うーむ駄目か。
それにしてもうちの参謀が何故にゃあにゃあなんてキャラに全く合ってない鳴き声を披露しとるんじゃ。
「そりゃ猫は好きだよ、好きだけどさあ。みんなの前だと大丈夫なのにさ、二人になったら途端に猫になるのよねえ。」
「うむ、気がかりやの。にゃあにゃあ以外におかしな点はないのか。」
「ほっぺをすりすりしてくるのと、おでこをこんこんってぶつけてくる…」
「……………。」
だめだ、俺の知っている柳蓮二、我が参謀はここにはいないらしい。猫柳とか寒い洒落を先程思いついたがまさか柳はそれを狙っているのか。はたまた普段の柳蓮二はペテンで、俺はそのペテンにかけられていたのか?そう考えるとおぞましい。己のデータすら取らせないためにペテンを利用するのかうちの参謀は。
「…仁王、顔色悪いけど。」
「お前さんも大概じゃぞ…。」






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「で、ニャンデレの効果はどうっすか、柳先輩。」
「ふむ、概ね順調だ。なまえは猫が好きだからな。データにもそうある。」
くせっ毛の強い彼はくすくすと笑う。柳蓮二はその隣でインターネットを開いて猫の特性について調べを進めていた。

「…今度猫耳でも持ってきましょうか。」
「ほう、形から入るという手か。一理あるな。…では頼もう。」


赤也の元になまえが殴り込みに来るまで、あと3日。




End.
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