circus -第二幕-

□#01 帰還
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まずはアスナの元へ向かった。


アスナは埼玉県所沢市の大きな病院に収容されていた。


何度かお見舞いに訪れているため、慣れた手つきでロビーで通行パスを発行してもらい、エレベーターに乗った。


彼女は最上階の病室にいた。



ゲームと同じ栗色の髪が美しくベッドに広がっている姿を見たとき、私は病院にも関わらずわんわんと泣いてしまった。

その時一緒にお見舞いに来ていたキリトが私を慰めた。




まだ終わっていないのだ。SAO事件は。




私がアスナの姿を見ていると後ろでドアが開く音がした。


そこに来たのはキリトだった。




『キリト。』



「##NMAE1##も来ていたんだな。」



『うん。』



それから二人何も語ることなく、アスナを見つめ続けた。


『キリトはどう思う?まだ300人が帰ってきてないこと。』



「茅場晶彦は確かに全プレイヤーをログアウトさせたと言っていたからな…。あの時に茅場が嘘を吐くとも思えないしな…。」



『だよね…。』



そういってると再び扉が開く音がした。



と、そこに現れたのは恰幅のいい男性だった。



「ああ、桐ケ谷くんに敷島くんも来ていたのかね。いつもありがとう。度々すまんね。」



「こんにちは、お邪魔してます、結城さん。」



『こんにちは。』



「いやいや、いつでも来てもらって構わんよ。娘も喜ぶ。」



入ってきたのはアスナの父親、結城彰三氏だった。
彼は総合電子機器メーカー≪レクト≫のCEOだった。

それを初めて聞いたときはキリトと一緒に仰天したものだ。

アスナはお嬢様だったのだ。


「社長。」



ふとカーテンの隅から現れた男性がいた。



「ああ、彼とは初対面だったね。うちの研究所で主任をしている、須郷くんだ。」



「須郷伸之です。よろしく。」



「桐ケ谷和人です…。」



『敷島桃香です。』
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