circus -第一幕-
□#06 幻の復讐者T
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「幽霊じゃない…。2件の圏内殺人には絶対にシステム的ロジックが存在するはずだ。…絶対に。」
壁に拳を付けたまま話すキリトの表情は見えなくて、一抹の不安が心に残った。
――――
「さっきの黒いローブ、本当にグリセルダさんの幽霊なのかな…。目の前であんなの2度も見せられたら、私にもそう思えてくるよ…。」
力なく言うアスナに私は抱き寄せて背中を擦ってやった。
「いや…、そんなことは絶対にない。そもそも幽霊だったら、さっきも転移結晶使わないで…。ッ転移結晶?」
『どうしたの、キリト…』
急に押し黙ったキリトに首を傾げた。
「いや…、なんでもない。」
――――
時間も時間だったので、メニューを操作しポップアップのボタンをクリックすると、それは紙に綺麗に包まれた状態で出現した。
『はい、今夜のトウリの分。』
「お、毎度毎度ありがとな、モモ。」
『そっちが作るように言ってきたんじゃない。』
私たちがいつもの言い合いをしてる間にアスナも自分で作ってきたサンドイッチをキリトに手渡していた。
その光景は傍から見ればお似合いの…
『(ううん!気にしない気にしない…)』
首を左右に振って、淀んだ気持ちを払拭しようとした。