circus -第一幕-
□#03 月夜の踊り子
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「なぁ、知ってるか?」
「何をだ?」
トウリの問いかけに、サーカス団員のペトラが反応する。
「俺らのメンバーの中で二つ名が決まったんだよ!誰だと思う?」
トウリの言葉に一斉に視線が私を捉えた。
『えっ、わ、私!?』
「正解!二つ名は"月夜の踊り子"だってよ、モモ。」
『そんな名前付けられる程じゃないのに…』
「攻略組が何言ってんだよ。くるくると踊るように狩る姿とその髪色からそう呼ばれてるらしいぜ」
「まぁ、確かにモモらしいな。」
「うんうん。」
トウリの言葉にペトラや他の団員も賛同するように頷く。
『月夜の踊り子、かぁ…』
そんな二つ名自分にはもったいないと思う反面、少し嬉しく感じた。
ーーーーーー
夜になると私はショーを終えるといつも最前線より手前のフィールドで狩りの感覚を失わないよう、一人で狩りに出かけていた。
今日は珍しくトウリも付いてきた。
『珍しいね、トウリが付いてくるなんて。』
「二つ名がついたって事はそれだけ、注目されて妬まれるものだからよ。」
『ふうん…、ねぇ、トウリには二つ名ってないの?』
「俺か?俺は"黒の道化師"って呼ばれてるらしいぜ?」
『ほとんど見た目の色で判断されるのね』
そんな話をしていると最近よく来る狩場へと到着した。
しかしそこには先客がいて、黙々とモンスターを狩っていた。