circus -第一幕-
□#00 憧れ
2ページ/2ページ
その甲斐あってか、二人してハードもソフトも手に入れることができた。
が、兄さんは学校の部活の練習があるらしく、正式サービス開始の13時からはできないらしい。
そのことを数日前から何度も言ってきては、確認するようにゲーム内で落ち合う約束を取り付けてきた。
確認の会話はさっきので何度目になるだろうか…
何回目か分からなくなるほど、確認させられたのだ。
――
『13時までまだ時間あるね…』
後ろ髪を引かれるようにベッドを後にすると、私はお昼とシャワーを済ませるために部屋を出た。
――
『よし…!』
ご飯も済ませた、シャワーも済ませた。
もう桃里兄さんから確認の電話が来ないように、念押しで自分からメールを送っておいた。
準備は万端だ。
刻一刻と時計の針が"1"と"12"を指そうとしている中、一秒でも遅れないように、私はナーヴギアをすっぽりとかぶった。
―そして時間がやってきた。
私は仮想現実の世界へと飛び込んだ。
『…リンクスタート!』
#00 憧れ end.