ヤマトヒメ
□No.5 躊躇
2ページ/8ページ
そして場所を変えて、第2戦が行われることになった。
次に選ばれたのは、
ヒーローチームがBコンビ。
敵チームがIチームだった。
私がいるチームは3人のため、最初から敵チームになると決まっていた。
建物に移動し、訓練が始まるまでの5分間、私と葉隠さん、尾白くんは核が置いてある部屋へとやってきた。
「尾白くん、剣ちゃん、私ちょっと本気出すわ!手袋もブーツも脱ぐわ!」
「うん…(葉隠さん…、透明人間としては正しい選択だけど女の子としてはやばいぞ…、倫理的に…)」
『は、はい…。』
名前で呼ばれたことに若干感動しながらも、返事をしたがあることにふと気が付く。
『(葉隠さんの個性って、透明人間だよね…ってことは今…。)』
ちらりと、尾白くんの方を見ると、彼は私の言いたいことが分かっているようで、口元に人差し指を持っていき、"シィー"と言われた。
『(流石に男の子がいる前に本人に言うのは、野暮ですよね…)』
葉隠さんのことを一旦頭の隅に置き、これからのことに思考を張り巡らせた。
対戦相手は、個性把握テストの時、握力の項目でとてつもない記録を叩き出した、複数の腕を持つ男の子と、半身を氷のようなもので覆ったコスチュームの紅白頭の男の子だった。
他人行儀のようだが、実は命はあの男の子を知っていた。
『(あんな特徴的な髪色の人、そうそう居ないからね…)』
「剣ちゃん、どうしたの?緊張してる?」
表情が陰っていたのか、葉隠さんの声が近くからした。
『あ、えっと…、作戦、考えてて…』
慌てて、そう弁解したがあながち間違っていないだろう、途中までは相手側の個性について考えていたのだ。
「そういえば、作戦とか考えなくちゃな…、どうする?」
「ん〜…、私、どこかに潜んでテープで確保するよ!」
『あの、一ついいですか?』
「「??」」
私と葉隠さんの会話を聞いていた尾白くんも交え、簡単な作戦会議を終わらせた。
葉隠さんは、核がある部屋から出て、同階で待機している。
『そろそろ、5分経ちますね。』
「ああ。」
私たち敵チームが建物に入ってから、5分後にヒーローチームが潜入することで、訓練がスタートする。
じりじりと緊張感が増していく中、周りの警戒を怠ることなく、視線を動かす。