circus -第二幕-

□#04 ルグルー回廊
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「所詮ゲームなんだからなんでもアリだ。殺したければ殺すし、奪いたければ奪う。そういう風にいうやつには嫌ってほど出くわしたよ。
一面ではそれも事実だ。俺も昔はそう思っていた。でも、そうじゃないんだ。仮想世界だからこそ、守らなきゃならないものがある。
俺はそれを大切な人から教わった。」



キリトはそういうと今までリーファの後ろを駆けていた、モモの手を握った。



「この世界で欲望に身を任せれば、その代償はリアルの人格へと帰っていく。プレイヤーとキャラクターは一体なんだ。
俺、リーファのこと好きだよ。友達になりたいと思う。たとえどんな理由があっても、自分の利益のために、そういう相手を斬ることは、俺は絶対にしない。」


キリトがそこまでいうとモモはキリトの手をぎゅっと握り返した。



「キリト君…。」



リーファは泣きそうになるのをこらえて小さく"ありがとう"と呟いた。



「あ、いや、ごめん。偉そうなこと言って…。悪い癖なんだ…。」



『説教するの、癖かしら?』


「モモまで言うなよ…。」


「ぷっ…ふふ、嬉しかった。」


「あっ、しまった。時間無駄にしちゃったかな。ユイ、走るから、ナビよろしく!」



「了解です!」



ユイがキリトの胸ポケットから出てくると、キリトはモモと握っている手と反対の手でリーファの手を取った。



「ちょっと、手を拝借…」



「え、あ、あの…。」


『ま、リーファ、自然に身を任せるといいよ。』



「それってどういう"!?」




リーファが聞き返す前に急にキリトが猛ダッシュし始めた。



「うわぁああああ!!!」



『いやっふぃー!!!』



リーファは雄叫びを上げながら、モモは楽しそうに叫びながら身を任せていた。




「あ、あの、モンスターが…」



キリトは目の前にモンスターがポップしても、足を止める気配を見せず、そのままモンスターの大群に突っ込んでいった。




キリトは上手いようにモンスターの攻撃を避け、最善のルートでモンスターの大群を潜り抜けた。



キリトたちの後ろはモンスターの大群が押し寄せてきていて、ここで他のパーティーに出くわしたら、相当なマナー違反となるが、今回はそんなことなどなかった。



「出口だ!」



次第に白い光に包まれている出口が見えた。
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