circus -第二幕-
□#04 ルグルー回廊
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――2025年、1月21日
キリトがたどたどしい魔法スペルを唱えると、辺りが明るく見えるようになった。
「おお!視界が明るくなった!」
『こりゃ便利だね』
「暗視能力不可魔法か〜、スプリガンも捨てたもんじゃないわね。」
「あ、その言い方なんだか傷付く。」
「ふふっ、でも使える魔法は暗記しておいたほうがいいわよ。得意なのは幻惑魔法くらいだけど。モモはいくつ暗記してる?」
『私はざっと20くらいは…。ウンディーネで高位の治癒魔法使えるし。』
「幻惑…?」
「幻を見せるの。実戦ではあんまり役に立たないけどね。ま、スプリンガンのしょぼい魔法が生死を分ける状況になるとも限らないし?」
「うーわ…、更に傷付く…。」
『さっ、行こう、キリト!』
「お、押すなよ、モモ…」
――――
「セア、ウラ、ザ、の、ノート?」
「機械的に暗記するんじゃなくて、力の言葉に意味を覚えて、魔法の効果と関連付けて記憶するのよ。」
「はぁ…、まさかゲームの中で英語の勉強みたいな真似事をする気になるとは…。」
「言っとくけど、上級スペルになると20ワードくらいあるんだからね。」
「うげ…、俺もうピュアファイターでいいよ…。」
げんなりするキリトに先を歩いていたリーファは振り向いた。
「泣き言言わない。」
『私も手伝うしさ、頑張ろ、キリト。』
「あ、ごめん、メッセージ入った。またレコンからか…、どうせ大したことないんだろうけど…。
≪やっぱり思った通りだった。気を付けて、s≫
なんだこりゃ…?s?さ、し、す…んん?」
「どうしたんだ?」
「んえっとね…」
「パパ、ママ!接近する反応があります!」
「モンスターか?」
「いいえ、プレイヤーです!多いです、12人!」
「12人!?ちょっと嫌な予感がするの…。隠れてやり過ごそ。」
「隠れるってどこに?」
「ま、そこはお任せよ。」
にやっとリーファは笑った。