circus -第一幕-

□#16 ユイの心U
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『ッ!!プログラム…!?AIだっていうの?』



「はい。プレイヤーに違和感を与えないよう、私には感情模倣機能が組み込まれています。
偽物なんです…。全部…この涙も…。ごめんなさい、モモさん…。」



モモがユイを触ろうと近寄ると、ユイは体を強張らせた。



『でも…記憶がなかったのは…?AIにそんなこと起きるの?』



「2年前…、正式サービスが始まった日…。
カーディナルはなぜか私へプレイヤーに対する一切の干渉禁止を言い渡しました。
私はやむなく、プレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けたのです。
状態は…最悪といってもいいものでした。
恐怖…絶望…怒りと言った負の感情に支配された人々…。時として狂気に陥る人もいました。」



モモは正式サービスが始まってからの宿屋に引きこもる過去の自分を思い出していた。



「本来であれば、今すぐにでもそのプレイヤーの元へ赴かなければならない…、でも、人に接触することは許されない…。私が徐々にエラーを蓄積させ、崩壊していきました…。
でも、ある日…。他のプレイヤーとは異なるメンタルパラメーターを持った二人の存在に気付きました。
喜び…やすらぎ…、でも、それだけじゃない。二人の傍に少しでも近づきたくて、私はフィールドを彷徨いました。」



『それで22層の森に…?』
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