circus -第一幕-

□#15 ユイの心
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――2024年、11月1日、第1層、はじまりの街



モモ達は、サーシャとなのる保母をしているプレイヤーから教会に来るよう、約束をしていた。



はじまりの街にある教会にはたくたんの子供たちがいて、食事の時間は大賑わいだった。



「これは…すごいな。」



「ふふ、いつもこうなんですよ。…ユイちゃんの具合、大丈夫ですか?」



『昨晩、ゆっくりと寝かせたおかげでこの通りなんですが…』



「今までにもこんなことが?」



『分からないんです…。この子、22層の森の中で迷子になっていて…。記憶を…なくしているみたいで…。』


「まぁ…。」


『それではじまり街に…』



そう話しているとユイがモモにパンを差し出していた。



『ありがとう、ユイ。…この子のこと知ってる人がいるんじゃないかって。』



モモはパンを受け取ると優しくユイの頭を撫でた。



「なにか心当たりはありませんか?」



「んー…、残念ですけど、はじまりの街で暮らしていた子じゃないと思います。ゲーム開始時に子供たちのほとんどが心に傷を負いました。
私、そんな子たちを放っておけなくて…!この教会で一緒に暮らし始めたんです。
毎日困っている子がいないか、街の中を見て回っていますが、ユイちゃんみたいな子は見たことがありません…。」



『そうですか…』



≪コンコンコン≫
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