circus -第一幕-
□#14 朝露の少女
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――2024年、10月25日、第22層
後日聞いた話だけど、あの後アスナとトウリも無事に両想いになったらしく、二人でセルムブルグの部屋に住んでいるらしい。
『(アスナ、よかったね…、トウリもやっと男を見せたって訳か…)』
アスナからのメッセージをホロキーボードで返事を書いていると、キリトが後ろから私を包み込むように抱き締めてきた。
「アスナからか?」
『うん、そう。トウリとセルムブルグの街で暮らしてるんだって。血盟騎士団の活動もしばらくはお休みするって。』
「よくあの団長が許してくれたよな。」
『なんでも最後に"またすぐに戻ってくることになるだろう"って言われたんだって。』
「なんだか気味が悪いな…。」
『あの団長が言うことだもんね…。ま、私たちもしばらくはここで静かに暮らせそうだし。』
「………。」
『どうしたの、キリト』
急に押し黙ったキリトに私はアスナへのメッセージを書くのを辞めて、後ろのキリトを見合った。
「なぁ、モモ。俺たちの関係ってこの世界だけのことなのかな…。」
『キリト、怒るよ。たとえここが仮想世界でも私の気持ちは本物だよ。私、元の世界に帰ったら必ずキリトを探し出してもう一度会ってもう一度好きになるよ。』
私はキリトの頬を両手で包み込んで言った。