circus -第一幕-
□#10 黒と藍の剣舞V
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カウントがゼロになった瞬間に、トウリは一気に距離を詰めた。
それはクラディールも同じだった。
クラディールの初動は両手用大剣の上段ダッシュ技、≪アバランシュ≫だった。
生半可なガードでは、受けることに成功しても衝撃が大きすぎて優先的反撃に入れず、
避けても突進力によって距離ができるため、使用者に立ち直る余裕を与える優秀な高レベル剣技だ。
あくまでモンスター相手なら、だが。
クラディールのアバランシュをひらりと躱すと、短剣用ソードスキル≪アーマー・ピアース≫を発動させ、クラディールのアーマーの隙間にトウリのダガーナイフがぐさりと刺さった。
トウリのダガーナイフではクラディールの両手用大剣を受けることはできないため、トウリは躱すことを第一に行った。
一撃でクラディールのHPを削ることはできず、トウリは次に≪ファッド・エッジ≫を発動させ、先ほど同様相手が動く前に切りつけた。
トウリは相手のHPを半減させることに成功し、そこでデュエルのウィナー表示が出た。
「もう、いいんじゃないの?」
それでも諦めきれないのかクラディールは今度は短剣を取り出し、トウリに向かって行った。
≪キィンッ≫
その短剣を弾いたのは先ほどまでデュエルを見守っていた、アスナだった。