circus -第一幕-

□#08 黒と藍の剣舞T
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――2024年、10月17日

第50層、アルゲード



今日はアイテムストレージに溜まっているものを売り払いにいつもの顔なじみの店に来ていた。



「こんなに売り払っていいのか、モモ。」



『持っていても宝の持ち腐れだし、売ってお金にしたほうがいいに決まってるよ。それにしても、こんなに売り払ったのにこの金額は安くない?』




「俺は安く仕入れて安く提供するのがモットーなんでね。」



『ケチ。』



「どーとでも言えっての。」




そんな言い合いをしていると、ぽんぽんと私は肩を叩かれた。



振り返ってみると、そこには相変わらず黒尽くめの装備のキリトがいた。




「よっ、モモに、エギル。」



『今日も迷宮区に行ってきたの?マッピングは?』



「それは後で話すよ、それよりもこれをどうにかしてくれ。」



キリトがエギルに交渉のアイテムを表示するとエギルは顔を真っ青にした。



あの巨漢が驚くほどのアイテムはなんなのか私も気になってしまった。




ひょっこりと覗いてみると、そこには≪ラグーラビットの肉≫と表示されていた。



「おいおい…、S級のレアアイテムじゃねぇか…。俺も現物を見るのは初めてだぜ…。」


『ラグーラビットの肉!?』


「お、おい、モモ声でかいって。」


『ご、ごめん…』



あまりのレアアイテムに思わず声を張ってしまったが、幸い街の喧騒で周りから客が押し寄せてくることはなかった。
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