circus -第一幕-
□#06 幻の復讐者T
1ページ/7ページ
ヨルコさんがポリゴンの欠片となってしまったのは、見なくても音で分かった。
「モモ!トウリ、アスナ!後は頼む!」
『キリト!深追いはダメ!』
そんな私の言葉など届かず、キリトは窓から飛び、隣の家の屋根を伝って走って行ってしまった。
『トウリはキリトを追いかけて!アスナはシュミットさんをお願い。』
「モモは!?」
『私はヨルコさんが消えた場所を見てくる!』
そういって私はヨルコさんが散っていった地面まで下りて行った。
そこにはギルティソーンと似たような形状の短剣が一本残っていただけだった。
街の教会から鳴る鐘の音だけが空しく響いていた。
――――
数十分後、戻ってきたキリトに私は問いかけた。
『それでどうだったの?』
「ダメだ。テレポートで逃げられた…。宿屋の中はシステム的に保護されている。ここなら危険はないと思い込んでいた…。くそっ…」
憤りをあらわにするキリトに、私は小さくため息をついた。
「あのローブはグリセルダのものだ…。あれはグリセルダの幽霊だ…ッ、俺たち全員に復讐しに来たんだッ!ははっ…、幽霊なら圏内でPKするくらい楽勝だもんなッ、アハハッ…アッハハッハハ…」
狂ったように笑うシュミットに私たち4人は顔を見合わせた。