ヤマトヒメ
□No.7 未知との遭遇
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雄英高校にマスコミが侵入してきた事件から、数日後――
今日の午後の授業はヒーロー基礎学。
「今日のヒーロー基礎学だが…、俺とオールマイト、そしてもう一人の3人体制で見ることになった。」
「(なった…?特例なのかな?)」
『(この間マスコミが入ってきただけに対しては、警戒してる…)』
「はーい!何するんですか!?」
「災害、水害、なんでもござれ…人命救助(レスキュー)訓練だ!!」
相澤先生が掲げたカードには、この間の戦闘訓練の時と同様にでかでかと"RESCUE"と書かれている。
「レスキュー…、今回も大変そうだな…。」
「ねー!」
「バカおめぇ!これこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!腕が!」
「水難なら私の独壇場、ケロケロ」
「おい、まだ途中」
<ビクッ>
相澤先生の機嫌を損ねるとまた"除籍処分"とか言い出しそうなため、皆先生が一睨みするだけで、静まった。
「今回、コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を制限するコスチュームもあるだろうからな。
訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始。」
相澤先生の説明が終わると、各々席を立ち、準備を始める。
私も席を立つとコスチュームを取り出す。
私の場合、個性を使って活動する可能性があるなら、コスチュームの方が断然良い。
『(自分からああいう格好しにいってるみたいだけど…)』
露出度が高めの自分のコスチュームを思い出して、ぶわっと頬に熱が集まる感じがして頭を左右にぶんぶんと振る。
――
「バスの席順スムーズに行くよう、番号順に二列で並ぼう!」
「飯田君、フルスロットル…!」
委員長になったばかりの飯田君ははりきって、どこから持参したのか分からない、笛を使って皆を誘導している。
――
「こういうタイプだったか!くそう!!」
「意味なかったなー」
今回乗り込んだバスは、車内の後ろ半分が二席あるタイプなのに、前半分は向かい合うように席が設置されていた。
よって、飯田君が誘導していた番号順になるのは意味をなさなかった。
私は空いてる席に座ったのだが、なんの因果かそこは轟くんの隣だった。
何も言わずに隣に座ったものの、轟くんも特に反応を示すことなく、両の目を閉じて動かなくなってしまった。