ヤマトヒメ
□No.3 個性把握テスト
1ページ/9ページ
――春
真新しいブレザーに袖を通し、ネクタイが曲がっていないことを鏡で確認する。
中学のころから愛用している鞄を引っ掴み、部屋を出た。
「今日からね、高校生!」
台所には朝ごはんの皿を片付けている母がいた。
『ん、どう、かな?』
母の傍まで行き、新しい制服を見せる。
「似合うわ、命。お父さんが見たら、カメラを持ち出してくるわね。」
その様子を想像したのか、母はふふっと柔らかく笑った。
父のことを口に出された瞬間、無意識ながらに眉が寄った気がする。
父が起きてこないうちに家を出ようと、玄関に向かう。
いつものように母からお弁当を受け取り、靴を履く。
『行ってきます。』
今日から私、剣 命は雄英高校ヒーロー科、1年A組に入ります。