ヤマトヒメ
□No,0 記憶
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それは、4歳の時の記憶――
普通、4歳のころの記憶なんて
曖昧で覚えていることも少ないはずなのに
その記憶だけは頭の中にこびりつき
今でも私を縛り付ける記憶でもある。
季節は秋――
街路樹の葉が風によってその身を揺らし、今にも枝から離れようとしている頃…
それは突然発現した。
「どうしたの!?――君!」
「先生、命ちゃんが――君を怪我させたんだよ!!」
「そうなの…?剣さん?」
周りの友達からの視線も、
幼稚園の先生からの困惑するような信じられないような顔も、
手に残る金属の冷たさも、
反対の手についたぬるりとした感触の血も
どれも、鮮明に覚えている。
そして、怪我をさせた相手の
びっくりしたような、呆然とした表情も。
どれも私にとって、
忘れることなんかできない、
忌々しい記憶――