circus -第二幕-
□#03 世界樹へ
3ページ/9ページ
「ごめんね、妙なことに巻き込んで…。」
「いや…、しかし、いいのか?領地を捨てるって…。」
「あー…。」
何か言いにくそうなリーファは突然私とキリトの背中を押して、塔のてっぺんまでいくエレベーターに乗せた。
塔のてっぺんにつくと私とキリトは感嘆の声を漏らした。
「おお…、すごい眺めだな。空が近い、手が届きそうだ。」
『うん…、どこまでも見えるよ…』
「でしょ?この空を見てると、ちっちゃく見えるよね、色んなことが。」
リーファは空に手を伸ばした。
「いい機会だった。いつかここを出て行こうかと思ってたの。」
「そうか…、だが、喧嘩別れみたいな感じにさせちゃって…。」
「どっちにしろ穏便に抜けられなかったわよ。」
「なぁ、レネゲイドって?」
「領地を捨てたプレイヤーはレネゲイド。つまり脱領者、って呼ばれて蔑まされているのよ。」
『リーファはそれでいいの…?』
「うん。それはいいんだけど、どうしてああやって縛ったり縛られたりしなくちゃいけないんだろうね…。せっかく羽があるのにね。」
「複雑ですね、人間は。」
そういってキリトの胸ポケットからユイが出てきた。
「人を求める心をあんなにややこしく表現する心理は理解できません。」
「求める…?」
「私なら…」
そういうとユイはキリトの頬にチュッとキスをした。
「こうします。とてもシンプルで明確です。」
「す、すごいAIね…。プライベートピクシーってみんなそうなの?」
「こいつが特に変なんだよ。」
そういうとキリトはユイを掴んで無理矢理胸ポケットに再び戻した。